安保激変

2013年6月7日

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辰巳由紀 (たつみ・ゆき)

スティムソン・センター主任研究員

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

 6月7~8日(日本時間の8日)にかけて、バラク・オバマ大統領と中国の習近平国家主席がカリフォルニア州で米中首脳会談を行う。習氏が国家主席に就任して以来初の米中首脳会談となるわけだが、この会談は今後4年間の米中関係がどのようになるかを占う上で極めて重要な会談となる。

 今回の米中首脳会談の最大の注目点は「『21世紀における大国同士の新たな関係』という枠組みに具体的な肉付けができるかどうか」(元国務省関係者)にある。また、首脳間の個人的関係の構築に非常に重きを置くオバマ大統領が、自分が政権二期目を全うする間、中国の最高指導者の地位にあり続ける習氏とどのような個人的な関係を構築するかは、第二期オバマ政権の対中政策に大きな影響を与える。

会談の形式が、議論のむずかしさを反映?

 実は、オバマ大統領と習主席が顔を合わせるのは今回が初めてではない。2012年2月、当時は国家副主席だった習氏がワシントンを訪問した際、オバマ大統領も習氏に会っている。ちなみにこの時、習氏は、ワシントンでオバマ大統領と会談した(しかも、90分以上議論が続いた)だけでなく、習氏が若いころにホームステイしたアイオワ州や、カリフォルニア州などの各地を回って米国に一週間近く滞在、その多くのの日程にバイデン副大統領が同行するなど、異例ずくめで、大変な厚遇を受けている。

 今回の訪米は、カリフォルニア州でのオバマ大統領との会談のみ。しかも、ワシントンDCに公式訪問するのではなく、カリフォルニア州で非公式会談を7日夕方から8日お昼頃までかけて行うという形態。前回のような派手な訪米ではない。一説には、今回の会談では国内にアピールできるような目に見える成果が期待できないと踏んだ中国側が、このような露出の低い会談の形式を望んだとも言われている。

 6月3日に報道陣に対して行われたブリーフィングの中でホワイトハウス高官は、繰り返し「インフォーマルな、対外応答要領を超えたやり取りをする余地のある会談形式であること、このような形式に中国側が同意したこと自体に意義がある」「今回の訪米は何よりも、国家主席に就任して間もない習主席とオバマ大統領が早い時期に直接話す機会を得ることで、今後四年間に向けた個人的関係の構築を目指すのが目標」と強調した。

 これは裏を返せば、今回の首脳会談後に発表できるような2国間合意など、いわゆる「目に見える成果」が出てこない可能性が高いことを示唆している。つまり、「公式訪問」の形をとると「物別れ」「失敗」といったマイナスのイメージが事後に形成される恐れが十分にあるということだ。それだけ、今回の会談は、双方にとって難しいものだということである。

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