2024年11月27日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月1日

 豪ロウィー研究所のロリー・メドカーフが、6月2日付ディプロマット誌ウェブサイトに、「シャングリラ対話で明らかにされた海洋状況の変動」と題した論説を書き、中国の軍人が、中国が相互主義で米国の経済水域(EEZ)に船や航空機を送り込んだことを認めたことについて、これは海洋法に関する中国の立場の変更であり、東アジアでの平和に資する、と歓迎しています。

 すなわち、中国は自国EEZ内での米監視船の活動を批判してきた。しかし、今や同じことをハワイ沖とグアム沖で小規模ながらしているということが、6月1日、シャングリラ対話で明らかにされた。

 中国は自国EEZでの米国の監視船の存在に反対して来たが、中国の軍人は「米国のEEZに船や航空機を送り込み、米国に返礼することを考え、事実、数回そうした」と明かした。

 これは大ニュースである。ペンタゴンは中国の軍事力に関する報告書で、中国が米国のハワイとグアムの経済水域に許可なしに海軍活動(中国はこれを違法としてきた)をしたとの指摘をしているが、これを裏付けることになる。

 中国の軍人は、監視をしたとは言わなかったが、仕返ししたと言った。

 何故この発言が重要なのか。

 第一に、中国がEEZ内での軍事情報収集は違法との自国の海洋法解釈が、中国の利益にならないと考え始めた兆候に当たる。中国の経済・戦略利益が沿岸域を越え、海軍力が拡大する中、他国のEEZ内での情報活動の利益を考慮する人が出てきている。

 更に中国は、米海軍を自国EEZ内から追い出すことは出来ないと考え、2009年のインペッカブル号事件のようなことは失敗なので、別のやり方を試みている。数年前より中国は米の艦船、航空機との危険な出会いを避けている。米は中国側の動きを正常としている。


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