2024年5月17日(金)

世界の記述

2023年3月8日

 国防総省とは別に、ミシガン州の州兵部隊も、同州北部のキャンプ・グレイリングで多国籍軍と行う年次訓練の際、台湾軍兵士の訓練を行うことを計画している。米軍は米国と台湾の両地で台湾軍兵士の訓練を行い、中国軍の侵攻阻止に役立てるつもりとみられる。

若年層は「反中親米」路線支持か

 米国の台湾支援の拡大を追い風に、台湾・民進党政権は「反中親米(抗中保台、親美)」路線に自信を深めている。台湾メディアの風伝媒によれば、政府系のシンクタンク、中央研究院社会学研究所の陳志柔所長は22日、民進党中央の幹部会合で報告を行い、党の反中親米路線に対する若年層の支持は変わっていないと述べた。

 会合に出席した同党関係者によれば、若年層の考えは与党の「反中親米」路線と一致している。台湾の若年層は国土防衛の意識が強く、有事の際に戦う意志も強いという。最大野党の国民党は親中路線を捨てない限り若者の支持は得られない。

 陳所長によると、民進党のコアな支持層の内、2022年の統一地方選挙で与党への不満をぶつけたのは、年齢が高く学歴が低い層に限られた。同党関係者も、昨年の統一地方選で与党に票を入れなかったのは、主に定年退職者や高齢の商店主らだと指摘した。

 これらの人々は、新型コロナウイルスの感染拡大で、商売などがダメージを受け、与党への不満を高めた。ソーシャルメディアで流れるフェイクニュースの影響も受けやすかった。

 一方で、若年層は地方選挙に関心が低く、投票に行かなかった。これらが、統一地方選挙で与党敗北の一因となったそうだ。ずいぶん傲慢な総括だが、与党民進党は次期総統選で若者層の支持は固いとみている。

米軍も台湾軍もアテにできない?

 民進党は「反中親米」路線に自信を深めるのに対し、世論は案外醒めている。世論調査機関の台湾民意基金会が2月21日に発表した世論調査結果によると「中国が台湾に侵攻した際、台湾防衛のため米国が派兵すると信じるか」との質問に対し「信じない」が46.5%で、「信じる」の42.8%を上回った。同基金会によると、米軍来援を信じない台湾人は、22年3月以降、多数派を占め続けているそうだ。

 世論は自国軍に対しても懐疑的だ。中国が台湾に侵攻した場合、「台湾軍の防衛力を信じるか」との質問に「信じない」が47.2%で、「信じる」の45.3%を上回った。18年には「信じる」が65.4%だったが、20年9月以降は、双方がほぼ拮抗してきた。ただ、不信派が多数を占めたのは今回が初めてとなる。

 台湾軍での信頼感は、支持政党間で明確な違いが出た。与党の民進党支持者では72%が台湾軍を信頼しているが、野党の国民党支持者では73%が「信じない」。第2野党の民衆党支持者も61%が不信派だった。「反中親米」路線への支持が、今後失速する可能性もある。


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