2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月19日

 6月15日付米Washington Post紙で、David Ignatius同紙コラムニストは、オバマ大統領が、シリアの反政府軍に武器を供与する決定をしたが、それは、穏健な勢力を支持し、過激な暴力や圧政に反対するためであり、この米国の戦略は、中東地域全体に適用すべきものである、と論じています。

 すなわち、米国は、シリア反政府軍に武器を供与することにしたが、これを、バーレーン、エジプト、イラク、トルコ、その他で起こっていることと関連づける枠組みを必要とする。シリア反政府軍への武器供与は、アサド大統領が化学兵器を使ったことを理由としているが、オバマ政権は、穏健勢力、すなわち多様な価値観の尊重、表現の自由及び法の支配にコミットした勢力を支持すべきである。

 2009年のカイロ演説の核心テーマはこれであったが、その後、そのフォローがない。

 シリア反政府軍の軍事指導者イドリス将軍は穏健派である。しかしイドリスは軍事的に弱い。米国は彼の立場を強化する必要がある。イドリスは、アラワイト派、キリスト教徒などに手を差し伸べる、シリア軍と協力する、ロシアにシリアでの将来を保障する、としている。これらは良いことであるが、彼が戦場で勝利しなければ意味がない。

 米国がイドリスを支持するのは彼が穏健派だからであり、彼の兵士が穏健路線から外れれば、米国の支持はなくなると明らかにすべきである。

 バーレーン政策でも、米国は穏健路線を支持すべきである。サルマン皇太子は宗派和解を呼びかけている。米国は彼を支援すべきである。

 エジプトでも、米国は穏健・和解を支持すべきである。モルシ大統領は効果的に統治していない。世論調査では、モルシへの期待は57%から28%に減っている。経済は破産している。米国とIMFは、緊縮財政ではなく、多様な価値の尊重を、援助条件にすべきである。

 この穏健勢力を支持し、宗派主義を排する戦略は、イラクにも拡大されるべきであろう。


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