2024年5月6日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年4月6日

 中国ではいま日本料理が大ブームとなっているが、中でも、日本語の「OMAKASE」(おまかせ)という呼び名で料理を注文することが人気となっているという。背景には何があるのだろうか。

(9Air/gettyimages)

「爆買い」きっかけに日本食がブーム

 筆者は昨年ごろから、中国人のSNSを見ていて、やけに「OMAKASE」(おまかせ)という言葉が飛び交っていることに気がついた。日本語がわからない人もこう書いていたので、気になって上海に住む友人に聞いてみると、日本と同じく、料理人に料理をすべてまかせるという意味で、ここ1~2年、急速に流行り出した言葉、スタイルだという。

 その友人によると、「高級日本料理店や高級寿司店で、よく『OMAKASEで』と言って注文する中国人が増えましたね。おまかせなので、金額はいろいろでしょうけれど、自分が知っているのは1000元(約1万9000円)以上ですね。予約のときに『1人1000元くらいのおまかせで』などと伝え、その日のおススメ食材などを使って、自由にメニューを組み立ててもらっているようですよ」という。

 おまかせが流行っているだけでなく、その金額にも驚かされるが、そもそも、「おまかせ」が流行る以前に、ここ数年、中国では日本料理が大ブームとなっている。現地に住む人々や、北京の日本料理店経営者などに話を聞いてみると、複数の理由があるようだ。

 その一つは、2014~15年ごろの「爆買い」ブームにより、中国人が日本料理の美味しさに目覚めたことだ。それまでも、中国には「日本人駐在員向け」などさまざまなタイプの日本料理店があったが、本場の日本で、本格的な日本料理を食べた経験を積み、舌が肥えたことが大きいという。

 二つ目は、新型コロナウイルス禍の影響だ。コロナ禍により、日本には簡単に行けなくなったが、せめて、「国内で日本料理を食べたい」、「日本的な雰囲気を味わいたい」という需要が増え、日本料理店が急増した。中国のデータによると、13年、中国全土の日本料理店は約1万店だったが、21年には約8万店にまで増加している。


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