2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月9日

 過去3年のエジプトと中東での出来事から得られる教訓があるとすれば、民主主義の価値を支持することで、短期的なコストを支払うかもしれないが、そうすることが長期的な国益に適う、ということであろう。我々の友人は、今は、我々に賛成しないかもしれないが、いずれ、一層尊敬してくれるようになるであろう、と述べています。

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 マケインの面目躍如たる、誠に情理を尽くした、バランスの取れた提言と言ってよいでしょう。現に存在している米国の法律の遵守、米国の友好国エジプトの中東の安全保障に占める重要性、そして、エジプト民主化といった諸課題を見事に調和させています。その一方、合法的政府を倒したクーデター政権に対する援助停止を規定した米国の法律が国益に資するかどうか見直すべきだ、とまで踏み込んでいます。 

 従来の米国とエジプトの軍との間の信頼関係、ムスリム・ブラザーフッドの暴走に対する米国の懸念、中東の柱であるエジプトの安定の必要から考えれば、やはり米国の識者の眼から見て、援助全面停止と言う選択肢は無いのでしょう。一方、オバマ周辺の民主主義原理主義者や米国の内政の状況から言って予断は許されず、民主主義原理主義者とは戦う必要があります。この論説の一番の目的は、それでしょう。

 オバマ政権が民主主義原理主義者の影響を受ける懸念は拭えませんが、オバマ政権も、政変を非難しつつも、モルシ追放について、軍事クーデターという表現を慎重に避けています。結局、大々的にではないがエジプト軍への援助も続ける、マケインらの提案と類似した方向になる可能性が高いように思われます。

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