2024年4月29日(月)

World Energy Watch

2023年6月8日

 エネルギー、化石燃料の賦存は世界の中で偏在している。石油資源に恵まれる中東諸国、石炭から天然ガスまで豊富に持つ米国、豪州のような国もあれば、日本、韓国のように資源がなく、化石燃料の輸入に依存せざるを得ない国もある。

(XtockImages/VanderWolf-Images/gettyimages)

 世界の多くの国は、エネルギーを自給することが叶わず輸入に依存せざるを得ない。中には、中国のように経済発展に伴い国内資源だけでは需要を賄うことができなくなり、石油、石炭、天然ガス、すべての化石燃料の輸入が必要になった国もある。

 世界が発展するに連れ、エネルギー消費量は増加し貿易量も伸びた。エネルギーが途絶すれば、経済も家庭も死に絶えるのだから、エネルギーを輸出する国の影響力は拡大する一方だ。つまり、エネルギーの覇権を握れば世界を動かすことも可能だ。

 エネルギーの世界で覇権を握る国が世界を混乱させ、経済に大きな影響を与えることを、私たちは1973年の石油危機で、最近ではロシアのウクライナ侵略で思い知ることになった。

 ウクライナ侵略を受け、世界の主要国が脱ロシア産化石燃料を進める中で、ロシアは覇権を失った。次の覇権を握る国はどこになるのだろうか。

 脱ロシアに加え脱炭素の動きが強まる中で、次のエネルギーの覇権争いをするのは化石燃料大国米国と再生可能エネルギー(再エネ)設備供給大国中国になる。日本はどうエネルギーを確保できるのだろうか。

エネルギー覇権の変遷

 50年前覇権を握り世界を混乱させたのは、中東の産油国を中心とする石油輸出国機構(OPEC)だった。

 73年秋、石油の価格は突然4倍になり、しかも親イスラエル国は石油の輸出禁止対象とされた。当時世界の一次エネルギー(電気、ガソリンなどに加工される前のエネルギー)供給の46%は石油だった。

 日本のエネルギー供給に占める石油の比率は75%超あり、世界全体より石油依存度が高くなっていた。エネルギーを輸入に依存する日本のような国では、安価かつ輸送が容易な石油依存が高まったためだった。

 第二次世界大戦後、日本を含めた世界の主要国は石炭の生産を増やしたが、戦争前に発見されていた中東での大油田からの生産開始が安価な石油を大量に供給することになり、主要国のエネルギーの主役は短期間に石油に変わった。


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