パナソニック 個人向けスマホ撤退か
遅すぎた脱ドコモ、壊れる「電電ファミリー」


Wedge編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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パナソニックが国内向けのスマートフォン事業から撤退する方向で最終調整に入ったと、29日、毎日新聞などが報じた。WEDGE9月号では、かつて携帯電話で国内シェアの首位を激しく争ったNECとパナソニックが、そろって脱落しつつある様相をレポートしていた。敗退ムード漂うパナソニック。日本の製造業の根源的課題が再び露呈した。

 かつて携帯電話で国内シェア首位の座を激しく争ったNECとパナソニックが、そろって脱落しつつある。NECはスマートフォン事業から撤退、パナソニックは最大の顧客であるNTTドコモ向けの供給を取りやめる方向だ。両社が7月31日に開いた決算会見では、「取り組みが遅れ、魅力ある商品が作れなかった」(NEC・川島勇取締役)、「B to Bなどもっと領域を広げながらやっていく」(パナソニック・河井英明常務)との発言が聞かれた。

 「ドコモに供給できなくなるかもしれないな」。パナソニックの幹部がこう漏らしたのは2013年春のことだった。実際、ドコモは夏モデルから「ツートップ戦略」として、韓国サムスン電子とソニーの端末に販売促進費を集中した。

 敗退ムード漂うパナソニックに、この春から接触を繰り返す企業がある。米携帯電話会社スプリント・ネクステルの買収に乗り出していたソフトバンクだ。ドコモが見放そうとするパナソニックに救いの手を差し伸べようとするのはなぜか。

 米国での携帯電話事業展開にあたりソフトバンクが期待したのは「パナソニックが持っている通信に関する特許ではないか」。パナソニックの幹部はそんな見立てを披露する。独自の機能をふんだんに盛り込んだ日本の携帯電話は海外では通用せず、「ガラパゴス」と揶揄された。しかし、その進化の中で蓄積された技術や特許に偽りはない。グローバル展開で、携帯電話は特に特許係争の火種が多い分野。日本メーカーに残された、数少ない資産が特許だ。

 パナソニックに対しては海外の通信機器メーカーなども関心を示している。パナソニックが今春に通信事業を手掛ける子会社を再編したのも、インフラ機器や端末など商品ごとに他社と組みやすくする狙いもあった。ただ、どの企業も資金的な余裕に乏しく、合意に至っていない。また、通信技術に対しては国もセンシティブにならざるを得ず、「中国メーカーと組むのはハードルが高い」(日本メーカー幹部)との指摘もある。

 かつて技術提携していたNECとパナソニックが組むという選択肢もないわけではないが、弱者連合は、富士通・東芝の二の舞になる懸念がある。旧電電ファミリーの中ではまだマシな富士通にしても、日本で弱者連合を束ねる考えはない。

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