世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月12日

 オースリンが、8月8日付でAEIのウェブサイトに掲載された論説で、テロの脅威のために22の米国在外公館を閉鎖したのは、世界にアメリカの権威の衰退を示すものであり、オバマ政権の下で、アメリカは外交内政ともに自信を失い、あたかも、内憂外患がともに迫った幕末の日本のようになってしまった、と嘆いています。

 すなわち、アメリカの在外公館の閉鎖は、アメリカの存在の縮小を内外に示すものであった。アメリカに対する期待の程度は下がっている。

 世論調査で、アメリカは良い方向に向かっているかどうかとの質問に対する答えは、32ポイントのマージンで、「悪い方向」という回答の方が多い。このような集団的心理は、内憂外患がともに迫った19世紀半ばの日本のようだ。

 たしかに、経済には良い兆候も見られる。しかし、財政赤字は減らず、中流階級の収入は増加せず、失業率は高く、若者の就職率は悪く、出生率も下がっている。

 12年間の対テロ戦争は終わったと言いながら、イスラム教徒の米国嫌悪は収まらず、在外公館の閉鎖も余儀なくされている。また、中国は、ソ連の崩壊以降、最も近代的な軍事競争者となり、アジアにおける米国の同盟国に対して強気に出ている。スノーデンのロシア行きを許すのに際して、アメリカに遠慮していない。

 そして、アメリカは軍備の大削減を行おうとしている。軍事的コミットメントを信用されないアメリカは、もはや、われわれの知っている民主主義の守護者ではない、と述べています。


* * *

 アメリカ衰退論としては、理論的と言うよりムード的であり、アメリカ衰退についての挙証の不十分さも指摘できるでしょうし、現在のアメリカを日本の幕末にたとえるのが正確かどうかという議論もあり得るでしょう。しかし、オースリンの言わんとすることは、「オバマ政権にはもう愛想が尽きた」ということであり、保守派インテリのオバマに対する失望を端的に表明している論説です。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る