世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月24日

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 米アジア太平洋戦略研究センターのホーナン准教授が、8月14日付CNNの論説で、安倍総理が目指す憲法改正による自衛隊の国防軍化や、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認などの安全保障政策への右傾化批判に対して、こうした政策は全く危険なものではなく、日本を取り巻く安全保障環境を考えれば当然である、と真正面から反論しつつ、安倍総理の個人的な歴史認識が、新しい安全保障政策の動機を見えなくしてしまう原因となっている、と指摘しています。

 すなわち、安倍総理は日本を右傾化させるナショナリストで、日本の軍事に関する制約を緩和する政策を追求して、憲法の平和主義を破壊し、第二次大戦中に日本が侵略したり植民地化した国々を怒らせている、という見方があるが、追求している政策は、軍国主義化に至るようなものではない。

 まず、憲法9条改正と、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈変更についてだが、これらの変更の結果、平和主義の制約が取り除かれ、日本が強力な軍隊を持つようになるわけではない。安倍総理は、憲法を改正して、自衛隊を国防軍に名称変更し、国防軍の存在を憲法に明記することによって、法的根拠を与えることを目指している。戦争、武力による威嚇、武力の行使の放棄は、引き続き憲法に明記されるであろう。

 集団的自衛権についての現行の解釈では、米国は日本を防衛する義務を負うにもかかわらず、日本は米国への攻撃があっても、同盟国たる米国を援けることができない。この不平等は、長い間フラストレーションの源泉となってきた。しかし、日本は、解釈変更後も、積極的に攻撃するのではなく反撃することに、法的には限定されるであろう。

 安倍総理のアジェンダは日本を孤立させるので危険である、との意見は根拠が薄い。中国と韓国以外の、地域の全ての国が、日本が危険な国になっているとは見ておらず、より緊密な関係を築きたいという安倍総理の願望を歓迎している。有り体に言えば、中国と韓国は、地域の異分子である。日本は、孤立などしておらず、多くの国が、日本を、経済、技術、安全保障におけるパートナーと見ている。

 安倍総理の個人的な歴史認識や歴史観にばかり焦点が当てられ、変化の裏にある動機があまりにも見逃されている。安倍総理は就任以来、自らの歴史認識を表に出さずにいる。戦争と慰安婦問題についての公式な謝罪も維持している。

 日本は、北朝鮮、中国、ロシアといった、危険な隣人に囲まれている。中国による領空及び領海侵犯の回数は、昨年、劇的に増加した。安倍総理がとっている行動は、高まる脅威に対する日本の防衛能力を強化しようとする正当な意図から出ている。ただ、安倍総理の歴史に関する個人的信念が原因で、こうした動機がしばしば見失われてしまっている。

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