2024年5月20日(月)

「永田町政治」を考える

2023年10月15日

立憲民主の法案は解散理由の事前告知など

 7条解散の是非はクリアできたとしても、大義名分があるか、首相だけが大権を握るのが許されるのかという政治的な問題は依然残る。

 日本と同じ議院内閣制をとる英国では、同様の見地から01年に議員任期固定法を成立させ、下院(日本の衆院に相当、任期5年)の解散には議員の3分の2以上の賛成が必要と規定したことがある。同様内容の法案を立憲民主党が今度の国会に提出する方針だという。

 解散日と理由を衆院に事前に通知することを内閣に求め、衆院の4分の1以上の要求がある場合は、解散に関する国会審議を義務付けるなどが柱という。

 衆院長崎4区、参院徳島・高知の補選(10月22日)などもあり、臨時国会が始まった後の政局の行方はなお不透明。立憲民主党の解散制約法案の行方も見通せないが、岸田首相が解散に打って出るにしても、見送るにしても、この際、論議が活発になるのは、国家国民にとって必ずしも、悪いことではないだろう。

強引な解散で報い受けたケースも

 恣意的な解散が手ひどいしっぺ返しを受けたケースを思い起こそう。

 いまとは制度が異なる戦前1937年のこと。当時の林銑十郎内閣は、国会が予算を成立させて政府に協力したのに、突如、理由もなく衆院を解散してしまい、「食い逃げ解散」と非難を浴びた。

 政府に非協力的だった政党への反撃が目的だったようだが、政府側は総選挙で大敗。林内閣はわずか4カ月で退陣に追い込まれた。

 林首相は陸軍大臣などを経験した予備役陸軍大将。軍部独裁の戦前の政治体制においてすらこのような結果がもたらされたのだから、民主主義の現代において、解散権を振り回せば、手ひどいしっぺ返しを受ける恐れがあろう。

 岸田首相はこのことを知っているだろうか。

   
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