2024年5月14日(火)

田部康喜のTV読本

2023年10月26日

 椿(松下)は4人が集まるのはたまたま出会った初回で終わりだと思った。他の3人もそう思って、別れたのだが……。

4人がまた会う「仕掛け」

 4人が再会を繰り返すきっかけとなる「小道具」ともいえる描写が優れている。夜々(今田)は美容院の割引になるスタンプ券を紅葉と一緒に椿の家に届けようという。そしてコーヒーを飲むことになって、紅葉が幼馴染のゆくえをスマホで呼び寄せるのだった。

 そして、紅葉は去り際に小さなタオル地のハンカチを椿の玄関に置いていく。椿に「忘れ物です」といって。

 主役陣のなかで、多部未華子と松下洸平の中堅の役者としての実力はいうまでもない。多部は青春時代の傑作「夜のピクニック」(2006年、長澤雅彦監督)、「君に届け」(2010年、熊澤尚人監督)が印象に残る。娘役から見事に脱皮して「空に住む」(2020年、青山真治監督)では官能的な演技もこなした。

 最近の大ヒット映画「ミステリと言う勿れ」(菅田将暉主演、松山博昭監督)では、松下洸平の重要な役どころのキャスティングは実力を反映している。今春のドラマでは「合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~」(天海祐希主演)の相棒役が魅せた。

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