2024年5月19日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2023年11月19日

なぜ韓国では整備された公園や遊歩道が多いのか

光州川の河川敷に並ぶ健康増進器具。昼前で暑いので人がいない時間帯

 80日間見聞した印象では韓国は日本に比較して大都市でも地方でも広い公園が多くて良く整備されている。遊歩道や自転車専用道も同様である。なぜなのか。

 一つには宅地開発において大手デベロッパーが手掛ける20階以上の高層アパート(タワマン)が圧倒的に多いことではないか。地方の人口数万人くらいの町ですら町の一角にタワマン群が固まって聳えている。それゆえ空いた土地に公園や遊歩道などを整備することが可能になるのではないだろうか。

 大邱テグやソウル近郊の不動産屋で聞いたところでは韓国人、特に若い世代では高層アパート(ハングルでマンションはアパトと呼ばれる)志向が強いらしい。日本では価格の問題もあるが東京近郊では建坪が狭い3階建ての戸建が主流であることと対称的だ。大邱の不動産屋はTVドラマで描かれる高層アパートのセレブなライフ・スタイルが影響していると分析していたが。

光州川の河川敷に並ぶ健康増進器具。昼前で暑いので人がいない時間帯

町の至る所に設置されている健康増進器具とベンチと東屋

 韓国を自転車に乗って走っていて気づいたのは、いたる所に設置されている健康増進器具と休憩するベンチと東屋である。街なかの小さな児童公園、交差点の脇、街路灯の下、歩道の横とかちょっとした隙間の空き地を利用して健康増進器具とベンチ・東屋が設置されている。自治体、町内会、ライオンズクラブ、ロータリークラブ、青年商工会議所、スポーツクラブなど、さまざまな組織・団体が設置している。

 朝夕の散歩の時間帯になると沢山の中高年男女が健康増進器具で熱心に体を動かし、ベンチや東屋で賑やかに歓談している。残念ながら日本ではさまざまな規制により公道や河川の近くではベンチの設置すら許可がおりないと町内会の役員から聞いたことがある。

中高年のウェルビン活動はサイクリング、パークゴルフと益々多彩に

 数年前にワルシャワでソウル在住の大手建設会社を退職した元土木技師(当時70歳)の朴氏と遭遇(『韓国人の勝ち組シニアから聞く日韓共通の社会問題』ご参考)。朴氏によるとハイキングは中高年の手軽な活動として人気という。ソウルには中高年向きの多数のハイキング同好会があるようだ。筆者もソウル郊外の新院駅前のバス停にカラフルな服装の同好会御一行様を見かけた。

 さらに近年は中高年のサイクリングも盛んである。ソウル郊外の漢江サイクリングロードでは数多の60代70代のシニア男性のサイクリストに会った。彼らは一様に高価なマウンテンバイクやレーサーに乗りユニフォームや専用シューズもブランド品だった。

 驚い たのは9年前には全く見かけなかった中高年のご婦人サイクリストの出現である。韓国では自転車ブームで若い女性の颯爽としたユニフォーム姿は珍しくないが、最近ではややポッチャリ体形のご婦人方もユニフォームに身を包んで走っている。

洛東江の源流付近の河川敷のパークゴルフ場。早朝から中高年プレーヤーで賑わう

 そして中高年カップルに大人気なのがパークゴルフである。女性でも簡単にできるスポーツであり夫婦で参加できることが人気の原因らしい。洛東江ナクトンガンや漢江ハンガンなどの河川敷には自治体により安価の公営パークゴルフ場が多数整備されている。日の出前から中高年のグループが三々五々を集まり早朝のプレーを楽しんでいる。時折歓声が上がり和気藹々とした雰囲気が河川敷に満ちていた。

 儒教的家族制度の呪縛から解放されたご婦人方が韓国の中高年ウェルビン活動をカラフルに牽引していることが今回の旅で印象に残った。

以上 第7回に続く

   
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