2024年11月21日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月15日

 立派な演説をするだけでは、中国の新指導部が企業の信頼を取り戻せないのは明らかだ。大手土地開発会社の会長で、1500万人のWeibo(中国版ツイッター)フォロワーを持つRen Zhiqiangも、政府が私的財産の保護と法の支配の強化に努めない限り、11月の党大会は1978年の大会のような成功を収めることはできないと言っている、と報じています。

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 中国における、政府による取り締まり強化の傾向は顕著なようです。李克強による経済改革の流れは当然あるのでしょうが、それと並行して、あるいは、それとは別の大きな流れとして、政府による統制強化の傾向が明らかに見えます。

 朱建栄の拘束などもその一例でしょう。今までは見逃していたようなことまで、政府当局が一々取り締まりの対象として取り上げるようになってきている傾向があるように見えます。

 それは、本年春の全人代における習近平の「中国の夢」の一つの目標が社会主義の建設にあり、政府権力強化、権力の分散阻止は、それに沿った一貫した流れであるようであり、その直後の4月の共産党文書9号によって、明確にされています。同文書は、中国社会で蔓延している7つの危険として、立憲民主主義、普遍的価値、市民社会、市場原理を重視する新自由主義、西側的報道の自由、政府公認の歴史への批判、中国式改革への疑問、を挙げ、これらを潰さなければ共産党は権力を失うことになる、と述べています。

 政府による統制強化は、また、中国指導部の一部にあると言われる毛沢東主義復活の動きとも関係があるかもしれません。更に、中国の経済成長が曲がり角に来ているという一般の認識の上に立っての、将来の不安、動揺に備える姿勢であるのかもしれません。現状では、そこまで将来の流れを断定的に言える状況ではないかもしれませんが、このエコノミストの記事からも、その気配は感じられます。

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