エコノミスト9月14-20日号は、最近、中国では外国企業が当局の腐敗撲滅運動のターゲットにされ、外国企業の間で、不安と中国政府の政策への懸念が広がっている、と報じています。
すなわち、9月11日に大連で開かれた経済フォーラムで、李克強首相は、幅広い経済改革を実施して、全ての企業に市場への平等のアクセスと法的保護を与えると言明し、元財務官僚の金立群も、中国は今まさに1980年代の深圳経済特区に匹敵するような新たな経済改革を実施しようとしている、とGlobal Timesに書いている。また、多くの者が、11月の党大会は、経済開放の引き金となった1978年の大会のような役割を果たすだろうと期待している。
ところが、こうした演説や政府系メディアの論調とはうらはらに、現実の政府と企業の関係は良好ではない。企業、特に外国企業を対象に厳しい、そして明らかに恣意的な腐敗取締りが行なわれているからだ。
確かに蔓延する腐敗に対して対策をとる必要はあるが、今回の取り締まりは方針が曖昧で手口も荒っぽい。ここ数週間で種々の分野の何十もの外国企業が当局の抜き打ち検査に遭った。中でも目立ったのがイギリスの大手製薬会社、GlaxoSmithKlineで、経営幹部や同社に雇われた外国人調査専門家が逮捕されてしまった。そのため、外国企業は「戦々兢々としている」と言われる。次にどこがターゲットにされるか誰にもわからない。そうした中、多くの外国人ビジネスマンが、中国指導部の約束する経済改革を疑問視し、法律は強化されるどころか乱用されているのではないかと不安に思っている。
先日は、反トラスト当局が外国企業弁護士数十人を招集、企業が外部から法的支援を仰いで当局の規制に異議申し立てなどすれば、「重大な結果を招く」と警告した、と言われている。
その結果、多くの外国企業が当面の取引を停止し、自社のコンプライアンス方針や中国の販売会社との関係等の見直しを行なっている。
危機感を抱いているのは中国の企業家たちも同様で、今年のYabuli中国企業家フォーラムでは、政府の介入や法の支配の欠如への恨み節が延々と続いた。企業家たちが特に憤慨したのが、金融詐欺の罪に問われたある企業家の処刑で、彼らはこれを不当な処断だったと見ている。「われわれの中からも刑務所行きが出るかもしれない」と言う者もおり、国家による没収を避けるための資金の国外持ち出しさえおおっぴらに語られた。