世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月30日

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 9月30日付National Review Onlineにて、Michael Auslin米AEI日本研究部長は、この20年間の米国外交政策の混乱で、米国は、外交と軍事の調和を見出すことに失敗し、米国の外交政策は場当たり的で、自己主張の強い国の主導権に任せる形になってきた、と指摘しています。そして、オースリンは、米国は、より明確な目標と戦略をもって、シリア、イラン、中国及び北朝鮮等の独裁政権に当たるべきである、と主張します。

 すなわち、シリア問題では、ケリー米国務長官が完全かつ包括的なものを強く求めたのに反して、シリアの提出した化学兵器リストは、完全というには程遠いものであった。

 更にシリアは、既に化学兵器の貯蔵場場所を移動させていると明らかに疑われている。しかしながら、オバマ政権や米主要メディアは、此の事に困っていない様子だ。CNNは、米政府高官の言葉を引用して、シリアのリストは、米国政府が予想していたよりは完全に近いものだったと楽観的に報道した。

 オバマ政権は、騙されることが分かっていながらも、外交的手続きに進み、それによって、自らの手を縛り、何か月も疑わしい交渉に巻き込まれて行くのである。今や米政府は、無意味な国連決議を受け入れている。国連決議は、シリアに化学兵器の放棄を求めるが、シリアがそれを遵守しない場合でも武力の行使には慎重である。このような意志の弱い国際決議は、アサド及び彼の庇護者であるプーチンを充分に満足させるものである。

 その間、米政府及びメディアは、確かな証拠もないのに、ロウハニ新大統領がイランの強硬な政策を変更するという「提案」を、一生懸命宣伝していた。ケリー長官は、イランが米国に対して、「全く異なる調子」で話してきたことを楽観して喜んだ。このイラン政府は、イラクで何百人もの米国兵を死亡させた武装勢力に武器を提供したイラン政権と同じである。この戦争行為に対して、イランは罪を認めたことも謝罪したこともない。

 ここでの真の問題は、米国外交が、ますますファンタジーの世界に陥っていることである。もしかしたらシリアとの合意は上手く行くかもしれないし、イランも平和を約束するかもしれない。しかし、それを信じるには、超人的な努力が必要である。

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