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2009年4月20日

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日銀の「前のめり」

 世界的な経済危機に直面し、コマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取りなど、倒産による損失覚悟で企業の資金繰り支援策を矢継ぎ早に導入してきた日銀が、景気後退の長期化を見越し、さらに「前のめり」とも思える対応を進めている。

 当面の焦点は、3月に決算期末を迎えた多くの日本企業が、5月にかけての決算発表を無事乗り切れるか。こうした「5月危機説」がささやかれる中、日銀は劣後ローン供与で銀行の資本増強を支援し、貸し渋りを防止する新たな措置を導入した。

 日銀による金融機関の資本増強支援は、1997年に旧日本債券信用銀行の優先株を引き受けて以来という異例の措置。

 しかし、劣後ローンは補完的自己資本にしか組み入れられないため、「あまり意味がない」(大手銀行)と金融界の反応は冷ややかだ。欧米では、自己資本比率規制を強化し、より中核的自己資本を重視していこうとする議論がなされているからだ。

初の“貸し渋り検査”に戦々恐々

 そんななか、金融庁は、銀行による「貸し渋り・貸しはがし」防止に向け、4~6月に集中検査を実施する。三大メガバンクと大手信託が対象だが、融資に関するクレームが多い地方銀行も加える予定。

 与謝野馨金融相は、「銀行が使命を果たしているか、おうかがいする」と穏やかな口調だが、受けて立つ銀行側は戦々恐々。

 銀行関係者には、不良債権処理に関し、金融庁に強硬姿勢で臨まれた99年の一斉検査や、2002年の特別検査が脳裏に浮かぶ。金融庁は今回、「個別案件の判断には立ち入らない」とのスタンスで、あくまで体制チェックが主眼であると強調しているが、箸の上げ下ろしにまで介入された過去の記憶は、関係者に今も鮮明な残像として刻まれている。

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