世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月25日

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 米外交問題評議会上席研究員のエリザベス・エコノミーが、ウイグル族が抱いている不満に対処するためには、中国政府は、ウイグル族を含む、全ての疎外された人々の権利と利益を守る、制度的保障をしなければならない、と11月5日付でCNNのウェブサイトに掲載された論説で論じています。

 すなわち、10月27日の天安門広場における自爆攻撃の後、中国当局は、直ちに、この事件は新疆出身者によるテロであると位置づけ、攻撃計画に関与したとされる者の逮捕を急いだ。何十年もの間、新疆では、イスラム教徒である多数派のウイグル族と、少数派の漢民族が激しい民族対立を繰り返してきたが、ウイグル族の不満が、新疆の外に溢れ出たことはほとんどなかった。中国当局は、ウイグルの過激派が初めて北京に対して行動をとった、と主張している。次は新疆での弾圧を強化するであろう。

 北京の政策は、新疆の、経済的、政治的、文化的問題の真の原因に、ほとんど対処していない。新疆の一人当たりGDPは天津の約3分の1であり、新疆では、漢民族が過度に利益を得ている。この地域への漢民族の移住が、問題を先鋭化させている。中国共産党の反宗教的価値観やイスラム教への強い制限が、多くのウイグル族を過激化させている、との指摘もある。

 北京は今までと異なった政策として、宗教に基づく差別を禁止し、税制や職業訓練を通じて不平等に対応し、少数民族の言語の価値を促進することができるかもしれない。中国国民に礼拝の自由を認めることは、より根本的な処置であろう。

 北京が、ウイグル族の政治的、経済的不満に適切に対処する能力や意思を持たない限り、東トルキスタンイスラム運動のような、ウイグル分離独立派からの脅威は軽減されない。しかし、実際には、そうした攻撃は、今のところほとんどない。北京にとって、より喫緊の課題は、ウイグル族を含む、権利を奪われた人々との間で、彼らの利益と権利を守る制度的保障をすることである、と述べています。

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 中国の長期的戦略が新疆の漢化政策であることは、疑いを容れません。それは、すでにほとんど完成した内モンゴル、そして現在チベットで行っている政策を見れば明白です。

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