2024年5月20日(月)

BBC News

2024年5月8日

アメリカのドナルド・トランプ前大統領が機密文書を違法に私邸で保管していたとして起訴された裁判で、フロリダ州連邦地裁の判事は7日、初公判を無期限に延期した。

アイリーン・キャノン判事は、裁判の証拠に関する重大な疑問を解決せずに公判期日を設定することは「軽率」だと、理由を説明した。

この裁判では、公判前の整理手続きに時間がかかっている。弁護側と検察側は、裁判で提出できる機密証拠をめぐって争いを繰り返しており、遅延を招いている。

今回の決定により、今月20日に予定されていた初公判は開かれないことになった。また、11月5日の大統領選挙の前に裁判が始まる可能性も低くなった。

キャノン判事は新たな公判期日について、「裁判所に提出されている問題の解決後、別の命令によって再設定する」とした。

トランプ前大統領の弁護団は、裁判を大統領選の後に開くよう求めている。一方、検察側は年内の審理を主張している。

この裁判で前大統領は、機密文書を退任後に法律で定められたとおりに国立公文書館に返さず、保管し続けていた罪に問われている

前大統領はまた、フロリダの私邸マール・ア・ラーゴの監視カメラ映像を消そうとするなどして、文書を取り戻す当局の試みを妨害したとして、追起訴されている

前大統領の罪状は、司法妨害の共謀や虚偽の供述など重罪計40件に上る。前大統領はいかなる不正行為も否定し、すべてについて無罪を主張している。

一緒に起訴された前大統領の側近のウォルト・ナウタ氏と、マール・ア・ラーゴの不動産管理人カルロス・デ・オリヴェイラ氏も、共に無罪を主張している。

キャノン判事はこの日、公判前整理手続きの追加審理を7月下旬などに数回設定した。だが、初公判の日程は設定しなかった。

法律問題の専門家の中には、トランプ前大統領の主張に味方することが多いキャノン判事について、裁判の進行をわざと遅らせているのではないかとみる向きもある。同判事は前大統領によって連邦判事に任命された経緯がある。

米リッチモンド大学の法学専門家のカール・トバイアス氏は、キャノン判事が前大統領チームの「遅延戦術」を制限するのを怠ったと述べた。

「多少の複雑さや遅延は避けられなかったかもしれない。(中略)だが、判事が裁判を掌握して動かしたり、助けを求めたりしなかったのは驚くべきことだ」

共和党の大統領候補と目されるトランプ前大統領は、他にも3件の刑事事件で計数十の罪に問われている。大統領の免責特権を主張しており、連邦最高裁の判断を待っている。

(英語記事 Trump's classified documents trial in Florida indefinitely postponed

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c97z217gjjvo


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