世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月2日

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 ウォール・ストリート・ジャーナル紙のBrian Spegele中国担当記者とMatt Bradley中東担当記者が連名で、10月10日付同紙掲載の論説において、中国が中東からの原油輸入量で米国を今や抜いていながら、その安全を米軍が保証している、それでいながら中国はシリアやイランをめぐって米国を支持していない、米国にタダ乗りしている、と問題提起をしています。

 すなわち、米国は本年、国内のシェールオイル、シェールガス増産で、ロシアを抜くエネルギー生産国となるだろう。米国のエネルギー輸入量は減っていくだろう。これに対して中国のOPEC諸国からの原油輸入は本年上半期370万バレル/日に達し、米国の350万バレルを抜いた。中国、米国に次ぐ三位はインドの340万バレルである。

 中国が原油を輸入する湾岸地域の安定は、米軍によって維持されている。そして、中国は、米軍にタダ乗りしている。4月ブルッキングス研究所で開かれた会議で、中国が同地域のシーレーンの安全にもっと役割を果たす用意があるかどうか聞かれた元国家エネルギー委員会委員長の張国宝は、「当面、米国がやってくれないだろうか」と答えた。

 また米中政府間のやり取りに通ずる関係者から聞いたところでは、中国側は、米国がアジア重視政策故に湾岸の安定維持をおろそかにすることがないか、念を押して来る。これに対して米側は、中国がシリアやイランに対する米国の政策をもっと支持し、イランからの原油輸入を減らすよう求めている。

 米国はイスラエルを守り、日本や韓国のような同盟諸国のシーレーンを守ることも必要である。それもあって、米国が同地域で中国の役割増加を歓迎するかどうかは不明である。

 同盟諸国は同地域での軍事基地を増強している。日本の自衛隊は2011年、ジブチにシーレーン警護のための基地を開いた。フランスは2009年にアラブ首長国連邦に基地を開設した。

 他方、中国が同地域に軍事力を行使する能力は限られている。これまでで最大のものは、ソマリア沖の海賊掃討作戦への参加である。

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