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2014年1月13日

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八尋俊英 (やひろ・としひで)

日立コンサルティング取締役

1965年生まれ。日立コンサルティング取締役。IT分野の投資銀行業務を学んだ長銀を最初に、ソニーを経て中途採用第1期生として2005年経済産業省入省、情報処理振興課長、官房参事官を経て退職。直近2年はシャープにて新ビジネスに取り組み、クラウド技術開発本部長、2012年11月退職。2013年1月より現職。4月より東大生産技術研究所協力研究員。一貫して新しい部署・新設ポストで新開拓を続ける。

 アベノミクスにおいて企業減税が実施される方向の下、賃金アップや雇用拡大が期待されるとともに、雇用の流動化についても各種議論がされている。日本は戦後の混乱を抜け出して高度成長し、その後石油危機などを乗り越えた。その間、世界で最も安定した労働者は、企業に忠誠を誓い、企業が長く雇用を維持することで、企業の成長力の源泉となった。

 今、雇用流動化にせよ、正規・非正規不平等問題にせよ、これまでの企業発展モデルをベースにした議論に終始しているようだ。2002年ダニエル・ピンクが『フリーエージェント社会の到来』(ダイヤモンド社)で著したデジタル資本主義による生産手段の企業から個人への移行は、クラウド時代になり急速に進んでいる。

 数々の企業で情報漏えいやセキュリティーの事故についての報道があるが、裏を返せばかつて工場や大企業のオフィスに通わないとできなかった仕事が変質したということだ。デジタル化、クラウド化により、生産手段であった工場など大規模な施設よりも、個々人がデジタルデバイスを使って情報を駆使することに価値の源泉が移っていることを意味しているともいえるのではないか。

 例えばグーグルはTVのような一斉集中の広告ではなく、検索キーワードに応じた広告収入が収益の大半を占めるが、その広告の書き手は、かつてのような大手広告代理店のプロデューサーではなく、世界中に散在する無数のコピーライターである。

 彼らはグーグルの社員ではない。クラウドにつながるデジタルデバイスと知能さえあれば、世界中どこでも仕事ができるし、仕上げた仕事に応じた収入が分配されるプロにもなれる。他の仕事と兼業もできる。

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