豪ロウィー研究所のメドカーフが、フィリピンの台風災害への米中の対照的な対応ぶりが、米国のアジアへのプレゼンスを強く再認識させ、それはオバマのアジア歴訪中止を補って余りある、と11月14日付Diplomat誌ウェブサイト掲載の論説で指摘しています。
すなわち、台風30号(Haiyan)の大災害の問題の本質は、救援、復興だが、地政学的側面も明らかになって来ている。主要国の対照的な対応は、アジアへの影響力の面で、大きなインパクトを残し得る。
(写真:AP/アフロ)
大災害への人道的支援には、支援を与える国にとって、戦略的外交という側面が常にある。2004年のインド洋大津波での犠牲者を救済するために、米、日、印、豪を核とするグループが立ち上がった時もそうであった。インド洋での経験は、インドネシアとの関係を改善し、各国の軍の間の信頼と相互運用性を高めた。
北京がフィリピン救援に踏み出さなかったのは驚きである。中国の反応はみすぼらしく、遅かった。中国は、当初、わずか10万ドルを供与すると言い、後日、160万ドル相当のテントと毛布を渋々提供することにした。中国は、南シナ海での紛争を理由に、フィリピンへの同情を示さず、外交を歪めた。
北京では一体何が起こっているのか。確かに、重要な3中全会が開かれていたが、それは国際的非常事態への対応が遅れる言い訳にはならない。北京は、地域におけるリーダーシップを示す機会を無駄にした。中国政府にも、恐らく、もっと寛大な政策を求めた者もいたであろうが、そうした声は、偏狭なナショナリズムの声にかき消されてしまった。
これに対して、米太平洋軍は、空母と海兵隊を派遣し、食糧、水、シェルター、薬品を運び込んでいる。米国はあまり大きな金額を出さない(おそらく合計2000万ドル程度)であろうが、その必要はない。