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2014年3月11日

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今村文彦 (いまむら・ふみひこ)

東北大学災害科学国際研究所教授、副所長

1989年東北大学大学院博士課程終了。同大学院工学研究科附属災害制御研究センター助教授などを経て、12年より現職。専門は流体波動(津波)数値解析、津波防災技術開発など。東日本大震災復興構想会議検討部会をはじめ多くの震災復興プロジェクトに携わる。

今年の3月11日で、東日本大震災発生から3年を迎える。過去の経験に照らせば、復興が終了、あるいは目処が立っているはずの時期だが、沿岸域の瓦礫処理は終わったものの、新しいまちづくりへの「つち音」がまだ響いていない。 津波の防災ノウハウを東北から発信し、実践的防災学の確立・普及を目指す津波工学の第一人者が研究成果を地域に還元し、住民の知恵として暮らしに根付かせる活動を紹介する。

 今般の東日本大震災は、巨大地震・巨大津波・原子力発電所事故等の複合的な大災害であり、専門分化した現在の科学や過去実績に基づく防災・減災計画では対応できなかった。東北大学では、災害科学を一新し、成果を社会に実装していく「実践的防災学」を創設するため、学際的研究集団組織として2012年4月に「災害科学国際研究所」を設置した。

 東日本大震災の主な断層活動の範囲は、南北約500キロメートル、東西約200キロメートルにわたると推定されている。過去この地域は、三陸沖、宮城県沖、福島県沖、海溝沿いなど個別地域でそれぞれ評価されていたが、今回、一気に連動し超巨大地震が発生したことになる。

 巨大地震が海底で生じると津波が発生するが、今回の津波は過去に無い姿を示していた。沿岸500キロメートル以上にわたり10メートル以上の津波の高さを示し、最大遡上は40メートルを超えた。従来のモデルでは説明できない、極めて大きな規模だった。

 特徴としては、宮城・福島沖での海底変化(断層のすべり量)が大きく、しかも日本海溝沿いの値(第2の断層のずれ)が大きいことが示唆されている。海底での地滑りも指摘されており、現段階では図のようなメカニズムが示されてきているが、今後、災害科学をさらに発展させていく必要がある。

たちあがる実践的防災学

 実践的防災学とは何か。3件の連携したプロジェクトを紹介したい。

 「カケアガレ! 日本」プロジェクトは、被災地である宮城県岩沼市で12年に始まった。東日本大震災の教訓や経験を活かした津波避難訓練プログラムを制作し、津波に備えた避難行動の習慣化を目指す産官学連携のプロジェクトである。

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