田部康喜のTV読本

2014年3月19日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 東日本大震災から3年の月日が流れた。「大震災」を忘れてはならないのはもちろんである。首都直下型地震や、太平洋岸の都市に被害をもたらす東南海地震の発生が予想されるなかで、「大震災」から学んで、その被害を減災する。

 「3.11」をきっかけとする調査報道や、ドキュメンタリー、ドラマの数々を観るとき、私たちは震災を忘却のかなたに追いやっているのではなく、震災をいまだによく知らなかったのではないか、と思い至った。

 地震学者や防災学者、そして通信会社など民間企業が協力して、「大震災」で何が起きたかをこの年月のなかで、徐々に明らかにしていることがわかったからである。

首都圏は過去に例のない大渋滞

 NHKスペシャル「震災ビッグデータfile3 "首都パニック"を回避せよ」(3月2日)と、「"災害ヘリ"映像は語る~知られざる大震災の記録~」(3月1日)は、そうした「震災」の真相を教えてくれた。再放送が待たれる。

 ビッグデータとは何か。膨大なデータを分析することによって、新たな知を引き出して、社会や組織に役立てることである。「震災ビッグデータfile3」は、乗用車やタクシーのカーナビの位置情報や携帯電話の位置情報、ツイッターのつぶやきの分析などを多層的に積み上げることによって、3.11のあの時にいったい何が起きていたかを探る。

 ここで念のために番組のナレーションでも告げられたが、分析の対象となるデータは個人情報とはまったく結びついていない。個人の動静を追跡しているのではない。

 首都を襲った地震の揺れは、関東大震災以来の大きなものだった。最新の免振工法が施されたビルの職場で地震に遭遇した私は、新橋から徒歩で渋谷方面の自宅に向かって歩いた。地下鉄が止まり、バスやタクシー乗り場には長蛇の列ができていたからだ。

 びっしりと人波であふれた歩道を歩きながら、あの時の車道の大渋滞にはまったく気づいていなかった。

 「震災ビッグデータfile3」は、首都圏が過去に例のない大渋滞に巻き込まれていたことをカーナビの位置情報によって明らかにする。警視庁が渋滞の監視をしているのは、主要な幹線道路に過ぎない。

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