大前研一氏が斬る「就活」
「新卒一括採用」に国際競争力なし

「就活」が日本をダメにする


WEDGE編集部 伊藤 悟 (いとう・さとる)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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世界についていけない
日本の「新卒一括採用」

─最近の新卒採用について、どのように思われますか。

 日本の新卒採用は、世界の流れについていくことがまったくできていない。新卒で会社に入ってくる人は、ひ弱だね。今のままでは、グローバル化に対応することなんてできるわけがない。彼らは国内の企業できちんと働くこともできないと思う。

 私が1970年に日立製作所に入ったときの同期生は、約1000人。新卒一括採用を行っていた。大企業は入学難易度がそこそこの大学を卒業した学生を大量に雇い、時間をかけて育てていた。育てる辛抱強さを失った今もこのスタイルだ。こんな事を未だにやっているのは日本だけ。強いて言えば、韓国のごく一部ぐらいしかない。

 「大学を卒業した学生の内定率が8割を切った」と大騒ぎをしたり、「新卒後、3年過ぎた者も“新卒”とみなす」としているのは、まさに本末転倒で日本しかない。

─海外の新卒採用は、どのようになっているのでしょうか。

 私はアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)の大学院やスタンフォード大学などにいたが、「卒業者の内定率」といった言葉は聞いたことがない。彼らはある程度の大きさになり、完成された会社に入ることを「恥」ぐらいに思っている。

 初任給は学生ひとりずつ交渉によって決まる。新卒時で希望する会社に入れなかったとしても、その後実績を積み上げていけばその履歴によっては入るチャンスが何回でもある。

─日本が参考にすべき国はあるのでしょうか。

 ドイツには有名な大学がない。ある大学に入り、そこで卒業するのではなく、いくつかを渡り歩いて学び、単位をとり、卒業するケースが多い。卒業後は、30歳くらいまでに生涯をかけて取り組む職を決める。それまでは世界を旅して「さまよえる鳥」という意味のワンダーフォーゲルのようなことをしている若者も多い。

 日本人のように学校などで「世界を学ぶ」のではなく、世界各地を実際に見て回っている。だから国際競争力を肌身につけるんだ。ユニクロや楽天のように、社員が英語を話せるようにするだけでは、本当の国際感覚は身につかないよ。

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