WEDGE REPORT

2009年5月20日

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(その1)では、日本人より頼りにされている外国人の現状を見てきたが、本稿(その2)では受入れ制度について検討したい。好景気になると「1000万人移民」といった開国論が盛り上がり、不景気になると鎖国論に振れる日本は、間を取って期限付きのグレーな形態をずるずる拡充してきたが、そう都合よく事は運ばない。受入れるなら、定着や統合にかかる多大なコスト負担を覚悟しなければならないし、受入れないなら日本人がやりたがらない仕事をどうにかしなければならない。外国人が定住化に向かっている現実から目をそらさず、大不況の今こそ、腰をすえて真剣な議論をすべきだ。

 折しも、今国会では出入国管理法改正案が審議中。在留カードの発行や、在留期間の延長(3年→5年)、研修生・技能実習生の保護の強化などが盛り込まれている。関心は低いが、非常に重要なテーマである。制度を考える上で、見逃してはならないのが、日系ブラジル人の現状だ。

職を失っても帰らない日系ブラジル人

浜松の多文化共生センターには連日多くの日系ブラジル人らが相談に訪れる

 「多くの日系ブラジル人が職を失ったが、日本に住み慣れ、母国に帰らなくなっている。帰国支援事業を設けた政府の思惑通りにはならないのでは」

 こう疑問を投げかけるのは、日系ブラジル人の就職や生活支援を行うブラジルふれあい会(静岡県浜松市)の座波カルロス理事長。座波氏の言う「帰国支援事業」とは南米諸国に国籍があり、再就職を断念した日系人を対象に、母国への帰国旅費30万円を支給するというもので、4月から始まった。だが、浜松市に外国人登録している約2万人(全国最多)の日系ブラジル人のうち、4月末時点での申請件数は100件ほどで、日系人の多い岐阜県美濃加茂市でも10件に満たないという。

 一方で、今でもブラジルからは多くの日系人が来日している。日本で派遣切りが話題になった昨年11月、サンパウロでは、月に約2000人の定住ビザが発給され、現在でも毎月約10000人にのぼるという。

 日系2、3世とその配偶者に就労制限がない「定住者」の在留資格が付与されたのは1990年のこと。この背景には当時、深刻な人手不足に悩む経済界からの強い要請があったとされている。浜松市企画部国際課の村木恵子課長はこう指摘する。「入管法改正施行当初は2~3年で帰国するケースが多かったが、次第に家族の呼び寄せや日本での結婚や出産により、受入れ側の体制が十分に整っていない中で、実質的な定住が始まった」

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