世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月30日

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 オーストラリア国立大学のホワイト教授が、3月19日付ニューヨーク・タイムズ紙で、オバマ政権は中国が力による現状変更を控えるのであれば、中国とのパワーシェアリングに応ずるとの姿勢を明示すべきである、と論じています。

 すなわち、過去40年間に亘り、米国の指導力の下でアジアの安定と経済発展が維持されてきたが、現在、この古い秩序は、中国の台頭により挑戦を受けている。将来、この地域で米国が果たすべき役割が大きな課題となっている。

 問題は、東シナ海の無人の島嶼群を巡る日中間の論争で顕わになっている。この論争は容易に武力衝突の誘発につながる。その場合、事態は急速にエスカレートする。米国は中国に対抗し日本を軍事的に支援する行動を直ちに執るか、それとも、何もしないかのどちらかとなる。

 米国は島嶼の領有権について中立の立場をとっているが、中国が日本の実効支配に実力行使により挑戦していることを批判している。ケリー国務長官は「米国は島嶼の最終的主権につき立場はとらないが、我々は島嶼が日本の実効支配下にあることを認識している」と述べている。

 米国政府関係者も日米安保条約に基づき同盟国日本を支持すると述べているが、中国側がそれを信じていないことは確かである。中国は軍事衝突が起こっても米国は動かないと見ている。中国が露骨に日本との対決姿勢を強化しているのもそのためである。中国が昨年末にこれら島嶼を含む防空識別圏設定を宣言したことは、対決を新たなレベルに引き上げた。

 東シナ海の危機のリスクを削減する為には、オバマ大統領が米国の新たな政策につき正式かつ明確な声明を発表する他ない。オバマ大統領は何を言うべきであろうか?

 仮に米国が日中間の対決で日本を支持しないと述べれば、日本の同盟関係に対する信頼は崩壊する。日本は軍備強化により自国を守るか、中国の東アジアにおける優位を黙認するしかない。米国の他の同盟国も同様の選択を迫られよう。米国のアジアでのこれまでのリーダーシップは失われる。中国の望むところである。

 他方、日本に対する無条件の支持を表明すれば、米国は戦争の可能性にコミットすることとなる。この戦争はコントロール困難であり、多分勝利することも難しい。中国が簡単に引き下がるはずだと仮定することは出来ない。中国は米国との戦争を望んではいないが、多分、有利な形での引き分けに持ち込むことは可能と考えていよう。最終的には、中国はアジアの秩序を変える為に戦う用意があり、その意欲は、アジアの秩序維持のために戦おうとする米国の意欲よりも強い。

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