世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月1日

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 オバマ大統領が、5月28日にウェストポイント(米陸軍士官学校)で行った外交演説について、同日付ウォールストリート・ジャーナル社説は、オバマが演説で触れなかった重要問題を列挙して演説の空疎さを指摘し、同じくフィナンシャル・タイムズ社説は、米国が重要な外交課題に果敢に取り組む用意があるとの確信を同盟国に与えるには不十分であった、と指摘しています。

 ウォールストリート・ジャーナル社説の趣旨は次の通り。

 すなわち、ウェストポイントでのオバマ大統領の演説は、自身の外交政策への強固な弁護を意図したものだが、オバマが演説で述べなかったことについてこそ、考える必要がある。

 ロシアとのリセットについて言及しなかった。オバマは、2009年のメドヴェージェフとの会談で、「リセットボタンは作用した」と公言した。 同じ年に、オバマはモスクワで「帝国が主権国家をチェス盤上で駒として扱う時代は終わった」と言った。

 アジアへの回帰あるいはリバランスについても言及が無かった。アジア回帰は、2011年にヒラリー・クリントンにより、「我々の政権の最も重要な外交的努力の一つ」として喧伝され、米国のイラクおよびアフガンからの撤退は世界からの撤退ではないということを示す意図があった。しかし、マクファーランド国防次官補が、最新の国防予算のカットを受けて、3月に認めた通り、「アジア回帰は、率直に言って、不可能なので、現在再検討されている」。

 オバマは、シリアの化学兵器使用に対するレッドラインについて言及しなかった。外交手段によってアサドを武装解除したという、見せかけだけの成功についても言及しなかった。大統領は、アサドが敵に対して塩素爆弾を用い続けていることが最近発覚するまで、この成果を誇りたがっていたが、どうやら、これも演説に入れる意味がなくなった。

 イスラエル・パレスチナ和平プロセスについても言及しなかった。中東和平は、ケリーの国務長官としての1年目の仕事の大部分を占めていたが、今や、アッバスがハマスのテロリストとの相違を修復し始めたので、崩壊した。

 「核のない世界」の追求についても言及が無かった。ロシアが1987年の中距離核戦力についてのINF条約をごまかしていること、北朝鮮がさらなる核実験に進むかもしれないことにも言及しなかった。

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