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2014年7月24日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 アメリカの新作映画「ゴジラ」(Godzilla)が来る7月25日から日本で上映される。5月に全米で公開されてから好調に観客を集めているようだ。中国でも日本より一足早く6月中旬に公開され、好評を博している。渡辺謙氏も出演しており、アメリカでリメイクされた「ゴジラ」の前評判が良いこともあって期待が高まるが、中国のサイトに、読んでのけ反りそうになった論評を見つけたので紹介したい。前にも紹介した保守派による論評サイト『烏有之郷』に掲載された王小石という評論家(ペンネーム)による「『ゴジラ』の隠喩:日本の軍国主義復活の前奏曲」という文章だ。

 習近平国家主席は欧州や韓国など外遊の先々で日本の「軍国主義の惨禍」や「復活」を言いふらしているが、こうした背景にはこの論評のような議論が中国社会では大手を振ってまかり通っているということがあろう。真偽のほどは確認が困難だが、ネットでは王小石とは中国社会科学院幹部のペンネームだという噂がまことしやかに囁かれている。

* * *

【2014年6月23日『烏有之郷』ネット(抄訳)】

 日本怪獣映画の先駆的な主人公として1954年に初めて映画に登場してから60年。ゴジラは古典的映画キャラクターとして世界進出している。2014年6月13日に「スーパーマン」や「バットマン」などの映画を制作してきたレジェンダリー・ピクチャーズが撮影した「ゴジラ2014」が中国映画館の銀幕に登場した。

 先日、メディアの大々的な広告に触発されてチケットを買って3D映画を体験してみたが、その結果は、散々たるものだった。映画は奇想天外なだけでなく、ダラダラ続き眠らないように耳たぶをひっぱって耐えるのが精いっぱいで、よくあるハリウッド映画大作の臨場感あふれるものではなかった。ただ映画は散々なものだが、映画が示す比喩には言わずにはいられない本質がある。それは映画ゴジラがアメリカと日本による日本の軍国主義復活のための政治宣伝ということだ。

 ゴジラの曽祖父は1933年のアメリカのハリウッドで撮影された「キングコング」である。世界映画史上で初めて都市に入り込んだ大怪獣だった。日本人の「キングコング」への思い入れは深いものだ。1938年に「江戸に出現したキングコング」が撮影されたが、特撮の神、円谷英二はこれに触発され、日本独自の怪獣映画を撮ろうとした。

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