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2014年7月24日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 今から10年ほど前に社会科学院に留学していた際に学者の卵である文学専攻の大学院生が桃太郎の話が日本の軍国主義を象徴するものだと紹介し、驚いたことを思い出した。中国国内では日本に関して驚くようなこじつけ論評が少なからず出回り、びっくりすることも少なくない。こうした状況は社会科学院に限らず、普通の高等教育機関や政府機関でも政治思想が重視され、イデオロギー教育や宣伝が行われることと無関係ではない。大学院生の論文審査にも政治的志向が求められる社会なのだ。

 日本の「軍国主義復活」を持ち出すのは、日本への懸念や不安だけでなく、中国国内の政治的必要性もあろう。日本の「軍国主義」を云々しなければならないほど政治的亀裂が深刻なのかもしれない。心ある専門家や当局者はこんなことは重々承知であり、日本の政治動向を把握し、実情を理解し、戦後日本の平和の歩みや社会状況をよく理解しているが、そうした意見は売国奴と糾弾されるため、沈黙してしまう。日本的なものや考えに「毒されない」よう国民をリードしなければならないというわけだ。まさに社会科学院において幹部が西欧の普遍的価値の浸透に警戒しなければならないと述べたばかりであり、数日前には中央組織部が普遍的価値を警戒するよう通達したばかりだ。

 中国国内の政治が混乱するほど冷静で穏健な対日主張は影を潜める。もちろん今回紹介したサイトの主張は中国でも保守派で比較的激しい部類に属するものだと断っておきたい。こうした主張は日本人からするとかなり違和感があるが、逆に中国国内に日本批判をしなければならないのっぴきならぬ事情があるのだ。

 いずれにしても目を三角にして映画の意図をあれこれ邪推するのではなく、3Dの迫力映像を存分に楽しみたいものである。

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