中国メディアは何を報じているか

2014年7月24日

»著者プロフィール
著者
閉じる

弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 彼は北朝鮮への先制攻撃や1995年の村山首相がアジア諸国に行った謝罪談話の撤回を主張する。彼が多くの支持を集め、首相に当選したことからも日本国民は右傾化しているといえよう。日本は軍国主義への道を突き進もうとしているのだ。つまり「右翼は日本で支持を集めていない」という主張を再検討すべきなのだ。これまで憲法を改正して軍拡するのは世論調査ではそれほど多数を占めるわけではないと言われてきた。確かに選挙民には決めかねている面もあろうが、憲法改正による軍拡支持は30%を超えており、右翼軍国主義思想が日本では必ずしも少数でないことを警告するには十分だ。

 もちろん日本にも親中的な中日友好を心から期待する学者もいるが、日本人として彼らも日本の国益上、それに挑戦できない。その一方、我が国のいわゆる「知日派学者」がテレビ番組等のメディアで日本にこびる発言を行い、学術の自由という煙幕の名の下に日本の憲法修正や軍拡を目的とする集団的自衛権獲得は中国にとって必ずしも悪いことではないと主張し、対日政策をミスリードして干渉しようとしている。こうした人々は大胆にも「漢奸(売国奴を意味する蔑称:筆者)」というような言い方をすべきではないとも主張しており、その企みは一目瞭然だ。

 今日の米国は既にソ連解体時の栄光や実力を持っておらず、ウクライナ情勢やイラクの戦局において派兵して干渉する能力を持っていない。盟友により派兵を支えようとしており、中国とロシアの強大な連合になすすべがなく、日本の軍国主義復活を黙認している。

 「平和は勝ち取ってこそあるものであり、妥協して得られるものではない」。我々の先輩たちが悲惨な戦争の中から得た教訓は我々一人一人の心にとどめなければならない。日本とはもちろん友好的往来ができれば良いが、幻想を抱くことは絶対できない。中国が自主的に工業や国防構築を続け、強大な実力を持ってこそ初めて日本に協力への軌道に戻らせることができるのだ。(典型的な砲艦外交を正当化するようなパワーポリティクス的な考えといえよう:筆者)

 ゴジラ米国版は次回作の2017年の上映が予定されているが、この時が一体何を示唆するのか注視し続けるべきであろう。

* * *

【解説】

 中国が日本の「軍国主義復活」を云々するのは今に始まったことではなく、安全保障政策で日本がこれまでと異なる措置を打ち出すたびに激しい批判とともに持ち出されてきた。とはいえゴジラのような娯楽映画に対してさえも「軍国主義復活への宣伝」とこじつける様には本当にそのように思っているのか、勘ぐらざるを得ない。なんらかの意図を持って宣伝に資する主張をしようとしているのではないかということだ。例えば、瀋陽にある「九一八」記念館には軍が多額の寄付をしている。全国に作られる「愛国主義教育基地」の大物スポンサーは軍であり、日本の軍国主義を吹聴する背後には軍などの利益集団が控えているのだ。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る