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2014年8月19日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 中国のネット動画配信サイトで、ある中年女性が乱入して行った大演説が話題になり、多くの視聴者を獲得している。それは5月末に古都、西安市で開かれた「性博覧会」の会場で起きた出来事である。

 演説の主旨を一言で言えば、「性の解放は欧米の陰謀だ。色情に浸り、堕落せず、民族の誇りを持て」ということである。商業主義化したセックス(性)が氾濫する中国社会において中国人として礼節、恥を持って、子供たちに道徳を説き、性の自由化に反対して、中華民族の尊厳を以って国を愛せ、と切々と主張したのだ。

動画再生回数は300万回を超える

西安市で開かれた「性博覧会」ポスター

 下心丸出しで押しかけた男たちの中でガードマンに遮られながらこのような主張を続けた姿はある種感動的で、肌も露わな女性モデルにかじりつきの中年男性たちからさえ拍手が沸き起こったほどだった。そしてこの動画は瞬く間に中国中で話題になり、様々なサイトで転載され、鳳凰テレビサイトでの動画再生は300万回を超えた。

 演説が行われたのは5月30日。下着ショーのモデルが舞台から引っ込んだ後、中年女性2人が突然警備員の制止を振り切り、マイクをひったくって舞台に上がり、30分にわたる演説をぶった。乱入の情景や場所は奇抜で、訴えの言葉は中国的で日本人からすると滑稽だが、主張に一部道理はあり、中国社会での「性」を巡る問題が浮き彫りになっているので二つの演説のうち初めの演説全文を紹介し、中国社会の性の問題、保守派の人々に広がる危機感について考えてみたい。ちなみにこの「性博覧会」の正式名称は「生殖健康製品博覧会兼西安性芸術文化祭」であり、女性が主張するように文化とは名ばかりの性の商品見本市でもある。

* * *

【2014年6月28日『観察者網』(演説部分抜粋訳)】

 西安市民の皆さん、注目です。今日は博覧会の二日目です。私は良識ある市民の皆さんに呼びかけなければならない。中国人は性に乱れ溺れてはならない。文化の名目で西安の名声を台無しにしてはならない。友達、同胞の皆さん。こうした演説は適切でないかもしれない。しかし私たちは行動せざるを得ない。これは今の中国の正邪の二つの力のせめぎ合いなのです。

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