チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年8月25日

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 世界中で大きな波紋を呼んだ上海福喜食品の「期限切れ肉問題」が暴露されたのは7月20日、上海の衛星テレビ「東方衛視」の報道番組によってであった。

 同テレビ局が2カ月にも及ぶ潜入取材を行った結果、上海福喜の生産現場でさまざまな違反行為が行われていることを掴んだという。テレビで流された映像には、地面に落ちた肉を何事もなかったかのように戻す従業員の様子や表面が青く変色した期限切れの肉を平気で使用する場面がはっきりと映され、同社の杜撰な衛生管理の実態が明るみに出た。

外資企業だから標的に?

 一連の報道は、日本では企業の不正に対するメディアの正当な告発だと普通に理解されているが、中国国内ではむしろ最初から、「東方衛視」の報道ぶりの「異様さ」が注目の的となった。中国国内の食品加工メーカーなら、上海福喜食品よりも酷いケースはいくらでもあり、上海福喜食品のケースはむしろ「軽い方」の部類に属するものだからである。にもかかわらず、「東方衛視」は一体どうして上海福喜食品に照準を当ててあれほど執拗な「潜入取材」を断行したのか、との疑問があがってきているのである。

 たとえば、著名な経済学者である王福重氏は「東方衛視」報道の翌日に自分のブログで、「汚水を垂れ流し、ハエが飛び交い悪臭漂う国内の一部の企業はさらに悪質であるが、それに比べて衛生環境はむしろ良い方の上海福喜が標的にされたのは一体何故か」との疑問を呈したが、それは多くの中国人たちの率直な感想を代弁したものであった。

 こうした中で、「上海福喜は外資企業だから対象にされたのではないか」との見方が浮上してきた。上海福喜食品有限公司は、世界最大の食肉加工グループであるアメリカのOSIグループが上海に作った会社である。しかも中国との合弁会社ではなく、この時代には珍しい100%独資会社なのだ。

 人々の疑念をさらに深めたのは上海公安当局の動きだ。実は「東方衛視」でかの報道番組が流されたその日のうちに、上海公安局はすぐさま上海福喜食品に対する捜査に乗り出した。このような電光石火の早業は、中国国内では異例というよりもむしろ前代未聞のケースで、人々を大いに驚かせた。

 2日後の22日、上海市食品薬品監督管理局はさっそくこの問題についての見解を発表し、上海福喜食品公司での食品安全基準違反は従業員の個人的な行為ではなく、組織ぐるみのものだったとの認識を示した。

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