障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2014年8月29日

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 「オリンピックはアジア大会や世界選手権大会とは全然違いました」

 「2006年の世界選手権と北京オリンピックは同じ会場です。でも、同じじゃなかった。場所も雰囲気も慣れていると思っていたのに、オリンピックの初戦であの場に立ったときの緊張度がまったく違っていたんです」

 幾多のアスリートが同じような経験を口にする。

 そこは観客席から見えている空間とはまったく異なる、選ばれし者たちだけが知る世界なのだろう。西山麗もまた「魔物」と「神」が同居する特別な時間と空間を味わったひとりだ。

 西山はこう振り返る。

 「緊張やプレッシャーを感じるよりもわくわくするタイプの自分があれほど緊張するんですから、オリンピックだけは他の国際大会とはまったく違うと感じました。決勝戦の最終回でピッチャーが投球練習しているあの時間は特に緊張していましたね。感覚的にはいま自分がどこにいるのかさえもわからない。ぽつんとひとりだけ立っているような気がしていました。音がまったく聞こえなくて、完全に自分だけの世界に入っているような感覚でした」

 ただそれも投球練習までのことだった。

 プレーが始まってしまえば、その感覚は世界の頂点へ駆け上がるための集中力へと変わっていった。

西山麗選手

全力を出せないという葛藤

 西山麗。神奈川県横須賀市に生まれる。 

 「赤ちゃんの時に受けた健診で心臓に重い障害があることがわかりました。私には兄が2人いるのですが、両親にとっては初めての女の子だったのでかなりショックを受けたようです」

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