世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月3日

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 米ジョージ・ワシントン大学のボブ・サター教授が、中国は米国の弱点を巧みに突き、アジア太平洋地域で自国の主張を押し通そうとしているが、米国も同様に中国の弱点を突くアプローチで対抗すればよい、とCSIS(戦略国際問題研究所)のウェブサイトに7月21日付で掲載された論説で述べています。

 すなわち、東シナ海・南シナ海のコントロールを高めようとしている中国は、いわゆる「サラミ戦術」によって、同盟の信頼性や地域安全保障の擁護者としての米国の立場を切り崩そうとしている。オバマ政権は、中国の行動に対して公式には厳しい対応をとり、同盟国や中国の挑発を受けている国々との安全保障協力を強化している。だが、それは中国の立場と長期的な目標に対する何らかのコストとなってはいても、結局、中国の行動を止めるには至っていない。

 中国は強制行動に際し、法執行機関などの非軍事的脅威を活用して米国の弱点を狙ってくるが、米国も中国の弱点を狙った対抗策を講じるべきである。こうしたオプションの多くは、米国の政策決定者にとって、予算的制約がある中でも容易に実行できる。また、ほとんどの場合、それらのオプションは、強力なレトリックや中国との直接的な議論、公の対立を伴うことなく、粛々と実施し得るし、そうされるべきものである。

 米政府は、引き続き中国に対する緊密な関与を続けるべきではあるが、中国がアジア太平洋地域における米国の立場を切り崩そうとし続けるならば、そうした態度をとり続けることによるコストとリスクを見せつけるべきである。

 こうしたアプローチは、新型の大国関係というポジティブな目標を追求しながらも、経済や貿易、核不拡散、人権問題ではネガティブな政策をとり続けている中国のやり方に倣うものだ。中国がこのようなやり方をしてくるのであるから、米国も米中関係のネガティブな側面とポジティブな側面を取り混ぜたアプローチをとってしかるべきである。米国が行いうるオプションとしては以下のようなものがある。

(1)中国の対潜水艦戦(ASW)能力が弱いことを突き、東シナ海・南シナ海に米国の攻撃潜水艦、ミサイル潜水艦を探知されないよう展開し、中国のいかなる先進的戦力をも壊滅させられる火力の存在を誇示する。場合によっては、それは日豪の潜水艦と共同する形となるだろうが、係争海域付近で米国の攻撃潜水艦が浮上してみせれば、中国に自らのASW能力の限界を痛感させることになる。そうなれば、中国はASW能力の未熟さを補うべく対抗措置を講じようとするであろうが、それは解放軍と中国の指導部らに大きなコストと予算上の優先順位付けの変更を強いることになる。

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