世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月4日

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 2007-08年の経済危機で中国の自己主張は強まった。安倍政権は東南アジア諸国、豪州、インドと連携し、この傾向を逆転しようとしている。安倍政権はこの方面での外交を強化している。また、安倍総理は、日本経済を再活性化したほか、武器輸出制限を緩和し、豪、印などと防衛協力も進めている。

 全体として、中国は領土主張を進めたが、ライバルの日本が力強い路線を取るように仕向ける危険を冒した、と述べています。

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 この論説は目新しい論点を提起しているわけではありませんが、最近の日本、安倍総理の外交・防衛政策(集団的自衛、武器禁輸撤廃など)を高く評価し、中国のライバルとして日本が出てきている、と指摘しています。

 もっとも、この指摘は、いささか過大評価と言うべきでしょう。日本の防衛費の伸びが中国にはるかに及ばないことだけをとってみても、そうです。また、筆者が言及している、日本に根差すパシフィズムをとっても、そうです。ただ、東南アジア諸国の一部に、期待も込めて、この論説のような意見があるということには留意する必要があります。

 安倍総理の集団的自衛権の限定行使、武器禁輸政策の変更、積極的外交は、いずれをとっても称賛に値することです。しかしながら、日本の安保・防衛政策は「普通の国」のものとしては、まだまだであることを認識すべきです。憲法9条の改正は依然として必要性を全く失っていません。

 今回の集団的自衛権の行使は、要するに、憲法9条を前提とした自衛権解釈に基づく、限定的なものです。自衛権は基本的には国際法上の概念であるのに、それを極端に狭く解釈しています。国内政治上、そうすることが必要であったのでしょう。しかし、今のイスラエルのガザ攻撃が自衛権で正当化されていること、10年以上続いた米国のアフガン戦争は、米国にとっては自衛権行使であったことなどを想起すべきです。新たに閣議決定に盛り込まれた3要件(1.日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、2.他に適当な手段が無い、3.必要最小限度の実力行使であること)が国際的にどう映るのか、国際社会の法意識をよく考えて、時期を見て再検討する必要があるでしょう。

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