無人航空機「ドローン」
流通革命にとどまらないその影響

データ収集が導く「新たなフロンティア」


塚越健司 (つかごし・けんじ)  情報社会学研究者

1984年生。専攻は情報社会学、社会哲学。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、など。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップ担当としてレギュラー出演中(http://www.tbsradio.jp/dc/)。

サイバー空間の権力論

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前回の連載は3Dプリンターと並んで次世代の産業を担うとされる「モノのインターネット」をテーマに、技術革新と人々が「新しい」と感じる価値創造の困難さを論じた(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4214)。

 もちろん、創造性の困難の一方で、技術そのものが我々の生活形式を変化させていくということは、まぎれもない事実だ。無人航空機の「ドローン」もその一つ。以前は主に軍事開発が主流だったが、現在では商用利用のためにアマゾンやグーグルをはじめとしたIT企業も参戦している。IT技術とドローンが交差するとき、どのような現象が生じるのだろうか。単なる流通革命にとどまることなく、ビッグデータと相まったドローンは、我々を新天地へと導いていく。それが良いことかどうかは別として。

大きさ、目的も様々なドローン

 ドローンとは「無人航空機」あるいは単に「無人機」と呼ばれるものの総称を指す。ラジコンのように手のひらサイズのものから、軍事用の爆撃機まで大きさは様々に存在し、用途も軍事や農業、輸送等の多様な目的で活用される。中でも注目されてきたものは軍事用ドローンだ。

 ドローンは主にアメリカ軍が力を入れて開発しており、偵察や無人爆撃等の用途に用いられる。なぜアメリカなのかといえば、軍事大国であることはもちろん、いわゆる「テロとの戦い」が深く関与している。アフガニスタンの山岳地帯や、イラクの砂漠など、人間が潜入しづらく、またテロリスト側に地の利があることから、ドローンによる偵察や爆撃が作戦上効率が良いとされる。実際アフガニスタン紛争およびイラク戦争では、プレデターと呼ばれるドローンが大量に投入された。

 軍事用ドローンは、攻撃にかかわる操縦者の精神的負担の軽減や生命の保護などの目的のために開発されてきたが、同時に誤爆も多く、アフガニスタン紛争以降、長らく誤爆による民間人殺害事件が多発し、倫理的にも問題を呼んでいる。そのため筆者も当初はドローンに良いイメージはなかった。

農業、災害現場でも活躍

 とはいえ、目的次第ではドローンが魅力的であることに異論を唱える者はいないだろう。実際、「空の産業革命」とも呼ばれているドローンには数多くの用途がある。

 まずは農業だ。広大な農地への農薬散布を目的とする農業用ドローンは、近年のスマホ開発と平行したセンサー技術の向上によって、種類別の農薬散布や雨天でも観察可能など、活用手段の広がりを見せている。また台数についても、日本では2013年度の普及機数は2550機(速報値)であるが、これは2000年度に比べると1.8倍となる。

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「サイバー空間の権力論」

著者

塚越健司(つかごし・けんじ)

情報社会学研究者

1984年生。専攻は情報社会学、社会哲学。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、など。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップ担当としてレギュラー出演中(http://www.tbsradio.jp/dc/)。

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