9月13-19日号の英エコノミスト誌(p28, p30 http://www.economist.com/)では、インドがマラッカ海峡近くに位置するアンダマン諸島の戦略的価値に着目し始めた、と報じています。
すなわち、インドは長年アンダマン諸島を辺境の地として軽視し、インド軍も専ら西のパキスタンに注目してきたが、そうしたインドの姿勢が変わりつつある。
貿易振興や中国の軍拡への懸念から、インドの関心は東に向かい始めている。それに、北のヒマラヤでは、中国は、チベット高原からインドを見下ろす戦略的に優位な位置にあるので、インドはその埋め合わせの場所を海に求めざるを得ない。
つまり、インドには海軍の増強が必要であり、実際、インド海軍の予算は、3年前の42億ドルから、今年は62億ドルに拡大した。これは軍事予算全体の約5分の1に当たる。また、アンダマンにある17隻の艦隊も、8年後には32隻に増え、部隊は6000人に倍増される。
アンダマンのインド軍司令官は、アンダマンはインドの東方発展のための商業・外交・軍事戦略の要だという。確かに、アンダマンは、海上交通の要所であり、マラッカ海峡の入り口のすぐ北側に位置する。
インドのタカ派は、有事の際、アンダマンを中国の通商を「妨害できる拠点」にすれば、中国に対する威力になると指摘する。一方、中国は、インドが「鉄のカーテン」を降ろすつもりだと警告している。
もっとも、これは先の話で、目下、インドは、中国との貿易や関係強化に力を入れている。それに、アンダマンは、軍事的要地となる潜在力はあるものの、明確な組織的計画はまだない。
空港開設、沿岸警備艇の停泊地の設置、国際演習の実施など、様々な動きはあるが、大半は無人の島々が750キロに渡って点在し、人口が40万しかないアンダマン諸島が大規模な軍事プレゼンスを維持するのは容易ではない。経済は本土の資金と物資に依存し、通信インフラも未整備だ。アンダマンが軍事的要地として機能するには、先ず経済開発が必要である。