WEDGE REPORT

中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」 ビジョンもガバナンスもなき実態

河合正弘 (かわい・まさひろ)  東京大学公共政策大学院特任教授

1971年東京大学経済学部卒業。78年スタンフォード大学経済学博士号取得。世界銀行東アジア局チーフエコノミスト、アジア開発銀行総裁特別顧問、アジア開発銀行研究所所長等を歴任。

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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 深刻な問題は、AIIBがベストプラクティス以下の基準でインフラ融資を競い、世銀やADBからインフラプロジェクトを奪っていく可能性があることだ。そのことは世銀・ADBの融資政策の基準の引き下げ圧力につながりうる。

 環境や住民への影響を十分考慮に入れてインフラ事業を進めるためには、AIIBと世銀・ADBとの間の対話・協調を促し、非生産的な基準引き下げ競争を生まないことが必要になる。

 そうした観点から、AIIBは世銀、ADBなどと協調しつつ、加盟国のインフラプロジェクト支援を行っていくべきだ。それに加えて、AIIBは経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)と協調していくことが望ましい。開発援助委員会は世界的な視野から、新興国・途上国への経済援助の情報を共有したり、国際的なベストプラクティスに則った援助政策の共有をめざすものである。

 中国によるAIIBの設立は時間の問題だろう。AIIBは、以上述べた4つの点(ビジョン、ガバナンス、融資政策、ドナー協調)で、責任ある国際金融機関として踏み出すことを期待したい。

  
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◆Wedge2015年1月号より

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著者

河合正弘(かわい・まさひろ)

東京大学公共政策大学院特任教授

1971年東京大学経済学部卒業。78年スタンフォード大学経済学博士号取得。世界銀行東アジア局チーフエコノミスト、アジア開発銀行総裁特別顧問、アジア開発銀行研究所所長等を歴任。

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