世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月13日

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 Gideon Rachman英フィナンシャル・タイムズ紙主席外交論説委員は、2014年11月24日付の同紙で、世界をいくつかの勢力圏に分け、それらの間のバランスをはかることで世界の安定を確保していくとの思想に反対し、米国を中心とする自発的な同盟体制の維持を主唱しています。

 すなわち、中国、ロシアは11月下旬北京での軍事協力委員会で、2015年春に地中海で共同海軍演習を行うと発表した。両国とも、自国の国境近接地域で西側が軍事行動を行っているのに反発し、自分たちもNATOの懐でパトロールができることを示そうというのである。

 この示威行為の背景には、「勢力圏」という考え方がある。両国とも、自分の周辺領域では他者の干渉を排する権利を持ちたいのである。ロシアがウクライナのNATO加盟に反対し、更に旧ソ連の領域にロシアの勢力圏を確立するため「ユーラシア連合」を作ろうとしていることは、その一例である。

 中国はこれまで主として経済力でアジアでの影響力を拡大してきたが、今や安全保障問題についても自己主張を強めている。2013年に中国が東シナ海に設定した「防空識別圏」はその一例である。

 西側には、平和を乱さないためにこの現実を認め、ロシア、中国にこの「勢力圏」を暗黙の裡に認めてしまえとする者もいる。例えばキッシンジャーは、ウクライナに対して、お前たちは自分の将来を勝手に決めることはできないのだよと諭して、平然としている。

 しかしオバマ政権は、そのような考え方に対して明確に反対の立場をとっている。勢力圏を認めれば、ロシアはウクライナがNATOやEUに加盟するのを禁ずることができるだろうし、中国はベトナム、フィリピン、そして日本にさえ、朝貢を強制するだろう。

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