経済の常識 VS 政策の非常識

2015年2月2日

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 まず何よりも、今日の金持ちは、庶民を貧しくすることで金持ちになった訳ではない。親の財産を蕩尽するのなら、それは所得分配を平等にするのだから、むしろ良いことだ。株が上がったのは、異常な円高が是正されて、輸出企業のコスト構造が正常化し、これらの企業が雇用を伸ばし、利益を拡大すると予想されたからだ。

 円安でも雇用が伸びていないというが、過去の円高では雇用が減っている。円高が続けば、さらに雇用が減っていただろう。雇用が維持できると思えただけで株が上がってもおかしくない。株価の上昇は、だれも貧しくしている訳ではない。

 私は、トリクルダウンが認識できないのは、おこぼれが海外に漏れるからで、それは日本が高級品を作れないからだと思う。作る技術はあるのだが、それを高級品として認知させる力がないからだ。個々の職人やデザイナーは才能があると思うのだが、それを総合的にプロデュースする知の力が弱いのだ。

 日本の企業は、全世界の時刻を認識して即座に時間を修正する時計を20万円で売っている。時刻も正確に示せない機械式時計が何百万円でも売れるなら、この時計は少なくとも200万円で売るべきだ。東南アジアで知られている日本の女優は、『おしん』以来生まれていない。これで日本の化粧品が海外で売れるはずがない。所得分配が重要だと叫ぶインテリがいても良いが、高級品をプロデュースできるインテリがもう少しいても良いのではないだろうか。

  
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◆Wedge2015年2月号より

 

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