2024年11月20日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月5日

 ロバート・ファーレイ米Patterson School of Diplomacy and International Commerce准教授が、2015年1月3日付のナショナル・インタレスト誌に、「インドの強力な核兵器計画:中国とパキスタンに向けられたものか」との論説を寄せ、インドの核戦力の過去、現状、将来を説明しています。

 すなわち、インドの核兵器計画は安全保障戦略の要石である。インドは他の核兵器国に量、質ともに劣っていたが、最近、第1級の核兵器国になる意志を示している。

 インドは1960年から始まる不安定ゆえに核開発を加速させた。中印戦争での敗北、1965年の印パ戦争、1971年の印パ戦争での米国の脅迫がそれぞれ役割を果たした。1974年、インドははじめて核装置を爆発させ、その後核開発、ミサイル開発を進めた。1998年、インドは5回の核実験をした。

 インドは今いくつの核兵器を保有しているのか。軍備管理協会によると、インドは約100個の爆発力の弱い核兵器を持っている。しかしインドは核分裂物質の生産を増やしており、比較的短期間に兵器庫の量・質を増やしうる。インドは4つの弾道ミサイル搭載潜水艦(SSBN)の建造を計画している。

 インドは核の3本柱のうちの2本、核搭載爆撃機と弾道ミサイルを保有している。プリトヴィ、アグニという核搭載可能短・中距離ミサイルも持っている。そしてアリハント(核搭載潜水艦、国産)がこれに加わる。搭載されるサラリカ・ミサイルの射程は500-1000マイルである。中パともに対潜水艦戦の能力はない。

 インドは二つの短期的な核脅威に直面する。パキスタンと中国である。中国はインドに対し軍事的優位を持っている。パキスタンは通常兵器では弱いが、非正規戦でインドを苦しめている。この両者にインドは対応しなければならない。パキスタンは核開発を進め、かつジハディスト支援をしており、対応が難しい。

 パキスタンが核戦力を増強すると、インドは対応せざるを得ず、中国の核の増強を引き起こす可能性がある。インドとしては、弾道ミサイル射程延伸と増強、多弾頭化、SSBM保有、水爆保有、ステルス性航空機保有を行い得る。


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