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2015年2月2日

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細川珠生 (ほそかわ・たまお)

政治ジャーナリスト

1968年東京都生まれ。91年、聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。品川区教育委員や、文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

 「私たちの仕事に対するモチベーションは、危険だと言われる核燃料を作る場において、安全のために技術を向上させ続けるという使命感にあります。技術の向上と継承が危うくなっていくようでは、無力感をぬぐえません」

 国内にある原子力発電の燃料を製造している会社のある幹部は、国内全原発が停止し燃料製造の受注がない厳しい状況では、技術と人材の向上と継承に大きな問題を残すという観点から、こう発言した。

Getty Images

 「3.11」からもうすぐ4年。この間、原子力発電についての国の方針は「安全であれば再稼働」という程度にとどまり、その時期や今後の原子力の位置づけなどは明確にせず、無責任な態度を取り続けている。原子力規制委員会による安全審査を原発再稼働の判断基準にするばかりであり、エネルギー政策が国の安全保障としていかに重要かという視点からは、他人事とも見える態度だ。その間に、国内のエネルギー産業には、至るところに問題が生じている。このまま放置すれば、国家の存亡として取り返しがつかなくなるのではないかという危惧さえある。

 国内の原子力産業は、電力会社やプラントの設計・製造会社、保守業務を行う会社、燃料や部品の加工会社など、約8万人を擁する。例えば、東京電力管内の柏崎刈羽原子力発電所には、7基の原発に対し、約500社、4000人以上が従事している(電気事業連合会資料による)。地元の人材を中心に雇用し、地方経済への貢献も大きい。極稀な例であるが、福島第一原発事故の損害賠償請求でも、「これまで散々お世話になったのだから」という地元民もいるくらい、地域経済にとって大きな産業でもある。

 全原発の稼働が停止しても、点検や保守業務のために各原発施設で業務は行われているものの、若い社員の中には、原発が稼働している状態に接したことがない人も増えてきており、発電所内における人材育成が問題になっているという現実があるのだ。

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