今月の旅指南

2015年2月27日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 古来、信仰の対象として崇められてきた富士山。美しいシルエットを持つその姿は、写真の題材としても多くの人々を惹きつけてやまない。被写体としての富士山をテーマに、定番化されたイメージの変遷史をたどる展覧会が開かれている。

日下部金兵衛 
《題名不詳(傘をさす女性)》  1880-90年代 鶏卵紙に手彩色

 会場には、観光や登山、博覧会など、さまざまな場面でモチーフとなった富士山が並ぶ。例えば幕末から明治時代、開港地の横浜で、日本の風物写真を手彩色した「横浜写真」が外国人旅行者の人気を集めたが、このとき日本の代表的な名所として紹介されたのが富士山だった。日本といえば「フジヤマ、ゲイシャ」のイメージが定着したのは、この「横浜写真」に負うところ大といわれるゆえんだ。

 また、国際舞台で国の象徴として使われた富士山のコーナーもある。明治6年(1873)のウィーン万国博覧会に高橋由一(ゆいち)の「富士大図」や柴田是真(ぜしん)の「富士田子浦蒔絵額(ふじたごのうらまきえがく)」が出品されたのを皮切りに、その後のパリ万博では富士山を中心とした巨大壁画「日本観光」、ニューヨーク万博では写真壁画「秀嶺富士」が会場を飾った。

 第2部では、富士山にかかる雲の観測に情熱を傾けた阿部正直(まさなお)の研究について紹介。当時画期的だった、映画や立体写真の手法を使った観測の記録や資料から、その業績をたどる。

富士定景─富士山イメージの型
<期間>1月17日~7月5日
<会場>静岡県長泉町・IZU PHOTO MUSEUM(東海道新幹線三島駅から無料シャトルバス)
<問>☎055(989)8780
http://www.izuphoto-museum.jp/exhibition/162054318.html

*情報は2015年1月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2015年3月号より

 

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