「コンパクトな地方都市」へ
明治維新からの人口の流れを巻き戻すことは可能か?

「百年の計」で地方消滅に立ち向かう(後篇)
増田寛也×飯田泰之


柳瀬 徹 (やなせ・とおる)  フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』、久松達央『小さくて強い農業をつくる』、荻上チキ『災害支援手帖』、飯田泰之編『地域再生の失敗学』など。

対談

(画像:iStock)

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待機児童のみならず「待機高齢者」が溢れはじめている東京から、高齢者と介護ビジネスを「コンパクトな地方都市」に移すことはできるのか。100年先の日本を展望しつつ、いま考えなければいけないことは何か。

*前篇はこちら

「老後移住」の可能性

飯田:人を地方に動かすことを考えたときに、まずはボリュームゾーンである団塊の世代の移動を考える必要があるでしょう。その次が私自身も含めた団塊ジュニア世代。団塊世代までは高校までは出身地にいた方も多く、地縁というか愛着がまだ強い。しかし、その子どもの団塊ジュニアとなると直接の縁はほとんどなくなってしまうので、老後は地元に戻るという選択肢を持ちにくいと思います。

 介護ビジネスを地方の中程度の都市に優先的に作るという方法は、団塊世代までの移住のみならず、職業を求める現役世代をも呼ぶものとして可能性があるのかも知れません。

増田寛也氏

増田:おっしゃる通りですね。東京はこれから高齢化が進行しますが、地価が高いために施設数に限界があり、入所できない人がたくさん出てしまいます。私の知人でも介護を抱えていて困っている人が何人かいますが、東京23区内では月に100万円以上の入所費がかかるようなところしか空いていないといいます。介護のために退職を余儀なくされた女性もいます。

 介護ビジネスで中核市に誘導する施策は必要でしょう。できればもう少し若いうちに出身地がある人は出身地に、転勤で3~4年でも赴任した土地がある人はその中から思い入れの強い場所を選ぶなど、馴染みの土地に移る動きを作り出したいですね。

 実家も墓も東京にあり、東京でずっと暮らしてきた人を動かすのは難しいので、地方から出てきた人をどうするかが当面の課題です。さらに長い目で見ると、東京に来ないと稼げないのではなく、地方でも稼ぐチャンスのある状況を作らないといけない。暮らしやすさを取るか集積を取るかが、若者にとってどちらも魅力のある選択肢にならないといけません。

 短期、中期レンジの政策と、長期的レンジの政策を作り、誰を対象に施策していくのかをしっかりと切り分ける必要があります。

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「対談」

著者

柳瀬 徹(やなせ・とおる)

フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』、久松達央『小さくて強い農業をつくる』、荻上チキ『災害支援手帖』、飯田泰之編『地域再生の失敗学』など。

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