テレビのニュースには拾われないかもしれないけれど、ネットの一部で盛り上がったあの話題。知りたい人へお届けします。
ラッパーの訴えが
ネットの話題をさらった理由
ヒップホップ界の有名レーベル「Libra Records(ライブラレコード)」が、かつての所属アーティストであるMC漢(かん)さんらに訴訟を起こされている。彼らはネットをうまく使った戦略で、ファンを巻き込み業界の話題をさらっていった。
MC漢さんは同レーベルに所属した約10年間で、数々のヒット作を発表してきた看板アーティストのひとり。また、今や業界最大手のMCバトル(MC同士が即興でラップをし勝敗を競う大会)である「ULTIMATE MC BATTLE(アルティメット・エムシー・バトル)」(以下、UMB)を考案し、同レーベル主宰のもと共に盛り上げてきたという歴史もある。
そんなMC漢さんらが訴える内容は、数年間にわたり楽曲のギャラを同レーベルから受け取っていないこと、同レーベル社長による暴言や暴力などに対する賠償と、同レーベルに奪われているUMBの商標使用権や大会運営権の主張だ。
MC漢さんは2012年に独立し、「鎖GROUP」(http://9sari-group.net/label-9sari)を立ち上げた。そのテーマに「アーティスト主体のレーベル」という言葉が掲げられているのも、同レーベルのやり方に対する憤りが感じられる。
ファンからも熱い支持を得ていた同レーベルだっただけに、この内容はセンセーショナルだった。「ライブラレコード好きだったのにショック」「アーティストを応援する意味でもCDを買っていたのに、アーティストに金が落ちていなかったなんて裏切りだ」という声も多く上がっている。
この件が今、ヒップホップ界の熱いトピックになっているのは、内容のセンセーショナルさばかりではなく、彼らのやり方も巧みだったからだ。この訴訟は昨年6月4日、ライブストリーミングチャンネル「DOMMUNE(ドミューン)」(http://www.dommune.com/)での生放送中に発表されたのだ。
その様子はヒップホップ情報サイト「Amebreak(アメブレイク)」がアップしているので(http://youtu.be/WvXJfeXFOsw)、ぜひ動画で生々しい空気感を感じてほしい。