世界の記述

2015年3月2日

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河島哲則 (かわしま・てつのり)

Crossroads International 社長

Crossroads International(クロスローズ・インターナショナル)社長。1978年、静岡大学工学部精密工学専攻を卒業。浜松市の部品メーカー勤務後 1980年代後半から米国駐在開始、米国中西部の駐在員として勤務する間に米国永住権を得た。自動車部品産業で35年以上にわたるキャリアを築く。 2004年6月からは、日本自動車部品工業会の北米事務所代表(ミシガン州ノヴァイ市)として、自身の自動車部品産業に関する専門的な知見を部品工業会の 会員企業に提供している。また、クロスローズ・インターナショナルの社長として、日本と米国の自動車部品企業が、それぞれの文化的な違いを乗り越えて事業 を行うためのコンサルティングを行っている。

 2013年7月にデトロイト市が約180億ドルの負債を抱えて裁判所に連邦破産法第9条に基づく更生申請を行った直後、デトロイト市の郊外に自宅とオフィスの両方がある私のところへ米国内と日本から幾つもの問い合わせやインタビューの依頼があった。その多くは破産法そのものが日米で異なるために日本人にとって理解するのがやや難しいという理由による質問だったのだが、中には苦笑いせざるを得ない質問もあった。

 前年の12年に再選を果たしたバラック・オバマ大統領は1回目の任期を景気後退に苦しむ米国経済の立て直しに費やしたが、その中でも大きな仕事が米国の自動車産業を救済することだった。

年初にミシガン州のフォードの工場で演説するオバマ大統領
(GETTYIMAGES)

 かつてビッグ3と呼ばれた栄光の日は遠く、すでにデトロイト3と呼ばれるほうが多くなっていた米国自動車メーカー3社のうちゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラー(現FCA US)を政府の指揮下で管理破産させて再生することだった。米国政府は巨額の資金を注入して2社を再建し、その後国内経済の好転に伴い新しく生まれ変わったGMとクライスラー、そして自力で再建したフォードは再び元気になった。

 私が苦笑いした質問は、再選を果たしたオバマ大統領が演説の中で「デトロイトは見事にカムバックした」と自慢していたのにデトロイト市は破産申請してしまったのはどうしてか、というものだった。明らかに米国自動車産業の象徴としての「デトロイト」とデトロイト市を混同したものだった。

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