世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年3月4日

 韓国海軍のユン・スクジュン(尹碩俊)退役大佐が、昨年末に発表された、日米韓での北朝鮮の核やミサイルについての情報共有の覚書について、1月22日付 Pacific Forum CSISにて、韓国では日本との軍事協力への反対が強いが、北朝鮮による脅威の増大に伴い日韓の協力の必要性は高まっている、と述べています。

 米韓日間における軍事情報共有に関する覚書は、北朝鮮の大量破壊兵器、核実験、長距離ミサイル発射に限定されるが、三カ国のアドホックな指揮・統制システムを創設する合意がなされたこと自体、韓日両国が政治的相違を乗り越え、効果的なコミュニケーション手段を確立する意思を有することを示している。

 北朝鮮からの核とミサイルの脅威があるので、韓日には軍の間で情報を交換する強いインセンティブがあるが、歴史的遺産や安倍政権の竹島に対する領有権主張の強化が、二国間軍事協力を制約している。韓国国内には、日本とのいかなる軍事的取引にも反対する強い世論があるが、今や北朝鮮が核弾頭を小型化し、米日韓に深刻な脅威を与えているので、韓日軍事協力の必要性は高まっている。

 米日同盟と米韓同盟は米軍のアジア・リバランスの中核であるから、新たな覚書は重要な一歩である。韓国には、日本の修正主義や集団的自衛権の問題と三カ国軍事協力がもたらす利益を比較衡量する必要が出てきた。新しい覚書は、地域の安全保障環境改善という利益を韓国にもたらす。韓国は、日本との定期的軍事交流を行うべきである。

 三カ国軍事情報覚書は、北朝鮮封じ込めをこえてロシアや中国を対象にし得る米主導のミサイル防衛枠組みに韓国を参加させることになる、という議論を中韓で引き起こした。北のミサイルに対抗するには、日米MDに参加しなくても韓国ミサイル防衛(KAMD)だけで十分であり、三国間の軍事協力は十分行える、というのが韓国の立場である。

 中国にとっては、三カ国情報共有覚書は、米国の中国封じ込め政策の新たな一環に見える。しかし、覚書の発表に対する中国の最初の対応は抑制的であった。中国は、韓国が米主導のMD網の一部になったり、自衛隊の役割の見直しを受け入れることを望んでいない。今回の協定に韓国が参加することに中国が寛容であるのは、韓国が米主導のMD網への参加に、財政的負担を理由に消極的なためであろう。

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