進むミャンマーの改革と残された課題


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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フィナンシャル・タイムズ紙が、ミャンマーが真の改革を達成しつつあると認める一方、憲法改正、少数民族への対応、経済的果実の分配、宗教対立の鎮静化といった課題がある、とする社説を2月15日付で掲載しています。

 すなわち、ミャンマーは今年総選挙を迎えようとしているが、2010年に行われた選挙は、きわめて重要なものであった。軍に議席の4分の1を保証する憲法に基づいて実施され、主要野党NLD(国民民主連盟)はボイコットしたが、真の変化の始まりであった。アウン・サン・スーチーを含む、何百もの政治犯が釈放され、検閲は緩められた。少数民族の武装勢力との停戦が交渉され、補欠選挙では、スーチー以下40名のNLDの候補が議席を得た。議会が力を得て、本物の民主主義が生まれる余地が出来た。

 しかし、ミャンマーの変革には、必要なことがまだある。軍が自信をもって権力から遠ざかることが不可欠である。軍は議席を返上し、憲法改正への拒否権を放棄すべきである。また、スーチーを念頭に置いた、外国籍の子を持つ人が大統領になれないとの憲法の条項を削除すべきである。スーチーが大統領になることが排除された選挙は、正当性を欠くことになろう。

 ただ、それは、ミャンマーの運命がことごとくスーチーにかかっている、ということではない。スーチーには、国家の運営に必要な資質があるか否か懸念がある。民主主義の象徴であることと、政治的・経済的問題を抱えた国家の指導者となることは、全く別問題である。

 憲法問題は氷山の一角である。誰が大統領になるにせよ、多くの危険な問題に取り組まねばならない。特に次の3つである。第一は、真の連邦主義を採用し、少数民族との和解に達することである。第二に、経済成長の果実をより広く行き渡らせることである。第三に、イスラム教徒との宗教的緊張をしっかりコントロールしなければならない。ラカイン州では、イスラム教徒は酷い扱いを受け続けている。新政府は、イスラム教徒が二級市民として取り扱われないようにしなければならない。ミャンマーの変革の多くは、将軍たちが次に何をするかにかかっている、と述べています。

出典:‘Myanmar’s next steps depend on the generals’(Financial Times, February 15, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/cfd61c32-b38a-11e4-a45f-00144feab7de.html#axzz3RqmB2duD

* * *

 2011年以来のテイン・セイン政権の実績は、民主化の進展、少数民族武装組織との和解の進展、大幅な経済改革による外国資本の呼び込み、現職米閣僚としては50年ぶりとなるクリントン長官の訪問に象徴される国際的孤立からの脱却など、目覚ましいものがあります。

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