世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月7日

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 米シンクタンクCNASの最高経営責任者のフロノイ元米国防次官が、同シンクタンクのラトナー上席研究員とともに連名で3月8日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に論説を寄せ、TPPは米国に経済的利益のみならず、地政学的利益をももたらすものである、と論じています。

 すなわち、TPPは10年に1度といえる重要な通商取り決めである。

 合意は米議会で承認される必要があり、そのためには議会はオバマにファーストトラック権限(個々の内容の修正を求めずに、一括して諾否のみを投票すること、貿易促進権限)を付与すべきである。

 TPPについては、経済的議論だけではなく、地政学的意義を考慮すべきである。

 21世紀はアジアの世紀で、今後数十年、米国の繁栄と安全にとりアジア以上に重要な地域はない。

 アジア太平洋地域に対する米国の関与を疑う者に対しては、議会の超党派によるファーストトラック権限付与は歓迎すべき反論になる。

 TPPは米国経済の回復と長期的成長を助け、財政の強化で米国の軍事態勢と技術優位を脅かす防衛費削減を回避する一助となる。

 アジアに対する経済的関与の強化は、米国のアジアにおける安全保障の結びつきを強める。

 TPPはさらに、アジアにおいて米国の価値と利益を推進するような、広範な通商規則を確立する前例のない機会である。このような機会はあと何十年訪れないかもしれない。TPPは、労働と環境基準の強化、知的財産権保護、国営企業への政府の補助金規制を定めることになる。

 日本、マレーシア、ベトナムのような国では、TPPにより、米国が長年アジアで求めてきたような経済的、社会的改革がもたらされることになる。

 米国内には、これらの規定が十分でないと批判する向きがある。しかし完全さを求めれば、交渉はまとまらないだろう。

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